狂った世界の成れの果て

@Ayano_hnezumi

狂った歯車

いつからだろうか。

神人狩りが、始まったのは。


「これは酷いね、死体もそのまま、家なんて今でも燃え続けてる。」


アランカラン。とある国、ベテディアと言う国から少し離れた所にある村。

そこで神人狩りが行われた。


「これじゃ、神人も逃げ切れねぇな....」

「ま、神人を見つけ出す為だけにこんなに村を荒らしたとなると、犯人は相当な暴君ね。」


少し....いや、かなり荒れている村を見て回る。

そこら中から、血と煙の匂い。吐きそうだ。死体も少し....大分泣きそうな顔だ。


ある女性は少女を抱き抱え死んでいる。多分親子だろう。

本当に悲しい事件だ。


「神人狩り....ねぇ、全く....何でこんな残酷なことしてまで神器が欲しいかねぇ....」

「レンディ、無駄口を叩いて無いで仕事して。」

「俺の仕事は優歌のお守りだよ」

「はぁ?ふざけんな、仕事しろ。」


レンディと少しばかりきつめの言い争いをする。

こんなの日常茶飯事だし、特に気には止めない。


「優歌殿、レンディ殿、調査の方はどのようになっておられるのかな?」


後ろから声がし、振り向く。

視線の先には腰までの長い髪、綺麗な金髪だ。

しかし、体つき、顔、どう見ても男だ。顔を見た瞬間に誰かはすぐに分かった。


「別に、特にこれと言って犯人を特定出来るような物はございませんよ、ノルン様」


ノルン....この男はどうにも苦手だ。

レンディは....ずっと不思議そうな顔をしている。


「ノルン....さん?何処かでお会いしました?」


確かに、私は二人が会ったところを見たことがなかった。

何故ノルンはレンディの事を知っているのか。


「おや、我が国王、ライト様と良く戯れているではございませんか。」

「ライト国王....ってベテディアの国王様?俺会ったことありませんよ。」

「おや、人違い....でしたか。すみません。かなり顔が似ていたもので」


失敬、と頭を下げるノルン。

私は話の本題に入った。


「ノルン様がここにおられるってことは王様直々の命令って事?」

「おや、人聞きが悪い。我々はただ単に貴女方の調査報告を聞きに来たのですよ。」

「....へぇ、」


私は村を見て周り歩きながらノルンと色々話していた。

レンディは死体を使って遊んでいる。後でぶち殴る。


「レンディ殿は悪魔なのですか?」


唐突に聞いてくるものだから驚き動きを止める。

背中にノルンがぶつかり軽く尻餅を付く。腕を引っ張り立ち上がらせ

先程の問いに答える


「何故、急に?」

「死体を浮かばせて遊んでいる様に見えましてな、」

「まぁ、あいつは悪魔なんですけど....」

「つまり....優歌殿はま....」

「私は人間と天使の混血です。」


ノルンの言葉を遮り、微笑み答える。

このときが苦痛だ。悪魔と仲良くしているだけで魔女と間違えられる。


「そう言えば、ここの死体は血が少ないものですな....ベテディアは人の国....近くの国、ガディアントは吸血鬼の国と言われてましたな。」


ノルンの言葉が引っ掛かる。

ガディアントは吸血鬼の国?ここの死体は血が少ない?


「おい、どういう....」

「それでは私はこれで失礼致します。」


私の言葉を遮る様に言葉を放ち、ノルンの姿は徐々に小さくなっていった。


───────────────────


「ヴワァァァァァァァァァ‼悪魔だ!こっちに来るな‼」

「キャァァァァァァァァァ‼やめて!私は死にたくない‼」


うるさい....うるさい....

うるさいうるさいうるさい....


耳に入る音が耳障りだ。

目に映るものが煩わしい。


私は何故悪魔に生まれてきたのだろうか....

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

狂った世界の成れの果て @Ayano_hnezumi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る