第5話 萌えるものといえば……
非常に面倒なことになったものだと慎之介じゃなくてもわかるだろうと思う。
俺のクラスの男子からの評価はただ下がり。逆に女子からはキャーキャー言われていた。どんだけ人の恋愛事情が知りたいのか。ずっと好きなの?とか、彼女さん?とか聞いてきやがる。くそめんどクセェ。
休み時間はなんともないのだが、朝、昼、帰りとこの3つのタイミングで奴はくる。
普通に可愛く、小柄な少し華奢な女の子。
だが性格はその見た目とは裏腹に暴走した台風のような激しさを持つものであった。
俺はそんな奴に捕まり、振り回されている。
毎日、毎日。
だが、それほど嫌気は感じていない。なんでなのだろうか。自分でも不思議である。
「ゆうちゃんいますか〜?」
来た。飽きずによく来れるよなとかちょっと尊敬する。
「いますよーここに」
テキトーに返答した。
「いたいた!今日のお弁当はサンドイッチ!ゆうちゃんが好きなやつ!」
「お前はよく飽きずに俺のところ来れるよな。クラスの奴らとは食べないの?」
「食べないよ。だってあなたより大切な人があのクラスにはいないのだもの。ゆうちゃんは、友達とたべないの?」
おい、理解しろ。俺のこの状況とか諸々を。てか、してください。破天荒な誰かさんのせいで友達からは冷ややかな目で見られるわ、罵られるわ。泣きたい。俺のハイスクールライフーー!!!!
まぁ嬉しいという感情も無きにしもあらず的な感じでもある。
つまり、今の俺の心はカオスさ。
なのでテキトーに返しておこう。
「まぁ、食べようにもお前いるしなんやかんやお前といて楽しいからな」
結奈の顔がかーっと赤くなった。いきなりもじもじし始めた。
「おい!どうした?顔赤いぞ?熱でもあるんじゃないか?」
「もう。馬鹿」
「んだよ。急に女の子しやがって……」
俺もなぜか恥ずかしくなってきた。
「早く食べてよ。時間ないから!!」
俺は焦って咳きこんだりした。
無事に食べ終わりはした。
すると、結奈は走ってどっかへ行ってしまった。
本当に面白いやつ。
俺はさらに彼女に興味が湧いてきた。
さらに、彼女の可愛いところは顔だけではない。行動も可愛い。
なんというか小動物的な可愛さがある。なんというか、顔のおかげ感もあるだろうが、俺はそこに萌える。
ギャップ萌え?というかあれだ、性格がやばいせいで、そういうところにときめいてしまった自分がいる。
次の日の昼休みのこと。
俺は彼女をじーっと見ていた。
「何見てるのさ!エッチ!」
「いや、行動が面白すぎてさ。いやーお前面白いわ」
「ひどい!この変態ゴリラ!」
「あーときめいた俺が馬鹿だったわ!お前なんて好きになんねぇよ!」
「はいはい。本当は好きなくせに!ツンデレかな?」
「うるせぇ」
可愛いんだけどな……。性格がな。破天荒すぎで少し困る。
喜怒哀楽の激しい人とはこの人を言うのではないかと思った。
彼女が初めて俺に声をかけてくれた日から二週間が経った。
彼女への最初の印象は良かったためか、ザイオンス効果により、少し気にはなり始めてきた頃。
俺らはよく二人で下校をしていた。
「いやー七時間疲れたー!まだなきがするぜ7時間授業とかさ!」
「ほんとだよね〜私のみにもなってほしいわ」
「お前は勝手に待ってるだけだけどな!」
「うわー酷いわーわざわざ待ってやってるというのにさ!」
「ありがとう(棒)」
「なによ!その棒読みは!」
その時、なんとなく俺は走ってみた。
「ほら、置いていくぞ!」
そうただなんとなく走りたくなっただけだ。
彼女はついてきた。自分で足が速いと言ってただけあって普通に着いてきた。すごい。
「いきなり走るとかどんな仕打ちだよ〜」
「なんというか意地悪してみたくなった」
「えーこれはないわー評価下がっちゃったかもよ?」
「ん?今なんか言ったか?聞き取れなかった」
「まーいいわ!それより早く帰りましょ!」
もしかしたら俺は結奈のこういうところに惹かれていくのかもしれない
君が覚えていて俺が忘れている大切なこと さつき @satuki_00
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