対立



♯15



翔真「お前……!!」



大神「あぁ…お前さっきの…」



円香「お母さんもしかして協会の人?」



東雲ママ「そうよ?」



円香「やっぱり!こんばんわ。東雲 円香です」



大神「ふん…この家は有名どころばかりだな」



翔真「やめろ!!!!!」



東雲ママ「!!?」


円香「……!!!日坂くん……?」


大神「………」



翔真「東雲…ソイツに近寄んじゃねぇ」


円香「え…なんで…?」



翔真「いいから離れろ!!!ソイツだよ!青柳殺そうとしたやつ…!」



大神「ハッ………。東雲のご婦人。今日はどうもありがとうございます。」



東雲ママ「いえ……」



翔真「てめぇ……次俺の知り合いに手ェ出してみろ…」



大神「………」ニヤ...



円香「そんなことが……」


翔真「とにかくアイツは危険だ…」



東雲パパ「危険か……」


円香「……お父さん?」


東雲パパ「わっぱ…お前は知らんと思うがな…異能の世界にも秩序を保つため、公的な組織がきちんとある」


円香「あ、お父さんそれは話した」


東雲パパ「何をぅっっ!!!!?」





東雲パパ「……まぁ何にせよだ。奴は、その公的な組織の組員の一人だ。」


東雲パパ「しかもあの若いの、少しすごいぞ。あの若さで、秘匿機動隊。言わば、組織内のエリート集団だな。それの一部隊の副隊長をやっておる。あれは恐らく史上最年少だ」


翔真「いやでも…!!」



東雲パパ「まずお前と奴とでは経験則があまりにも違う。腐っても奴は協会の人間だ。何もしていない奴に手など出さん。その青柳という友達も妖怪混じりでありながら申請を怠っていたのだろう?」


翔真「それは……」



東雲パパ「人外れた力を持つものはその力に責任を持たなければならん。それを怠るようなら罰を受けてしかるべきだ」


円香「じゃあお父さんはあの人派なの?」





東雲パパ「……とここまでは俺も奴と同意見だ。ただ、その理由や状況も分からぬまま殺すという判断は、ちとやりすぎな感はあるな。ましてや友達であるなら殺されるところを黙って見てていいわけがない。わっぱ。お前のしたことは間違いではない」



翔真「お義父さん…!!!」

東雲パパ「お義父さん言うな」



円香「……///」




東雲パパ「まぁだ。次に奴が顔を出した時には俺から言ってやろう」



〜〜〜〜病院〜〜〜〜


翔真「待ってろ…青柳…お前に手出しはさせない…」



「すいません…そろそろ面会時間終了ですので…」



翔真「……また来るよ…」



青柳「日………坂…」



翔真「!!!」



翔真「目ぇ覚めたか!」




青柳「……すまなかった……今まで黙ってて……」



翔真「…………」



青柳「怖かったんだ…俺の本当の姿を見せることでお前達に逃げられるんじゃないかって…お前達が遠ざかっていきそうで…」



青柳「ただこれだけは信じてほしい…。確かに俺は吸血鬼との混血だ…でも、俺は今まで一人として人間は襲ったことはない…」



翔真「…おあいこだよ……俺もさ…実はお前らに隠してたことがあるんだ…。


この眼帯の奥……」トントン



〜〜〜翔真・帰路にて〜〜〜


翔真(やっぱりだ…さっきイビルフォーカスで見たけど、青柳の傷…奴に何をされたかは知らないけど、明らかに回復速度が遅い…。長年、吸血鬼として必要な他者の『血』を摂取してないから…人間側でなく、半妖側の細胞が栄養不足で痛み切っているんだ…)


翔真(青柳は今、目を覚まして、必死に堪え戦ってるんだろう…。体の細胞が気が狂いそうになるほど血を欲しているのを凄まじい理性で抑えつけて…)



翔真(大神…奴の言い方からして…奴は十中八九、半妖について詳しい。なら目を覚ました青柳が体を回復させるため血を欲しがることを分かっているはずだ。大丈夫だとは思うけど、大神からすれば、いつ誰を襲うか分からない危険人物…。前にも増して、青柳を殺そうとしてくる…。)



翔真(間違いない…アイツは来る…!)



〜〜〜翌日〜〜〜


照彦「青柳入院したって?」


翔真「どこの病院運ばれたとかは知らないけどな」


照彦「なんだよーじゃあ今日は2人かー」


翔真「いや俺これで終わり」


照彦「えぇっ!!?次の授業は!?」


翔真「今日休講なんだよ」



照彦「タイミング悪いことこの上ないわー」


照彦「で、その辺で時間潰して待っててくれるの?」キラキラ

翔真「待たないよ」



照彦「テメェ…」


翔真「じゃあ俺帰るわww」


照彦「裏切り者!!裏切り者ぉ!」


翔真「じゃあな!」





翔真「………じゃあ…行きますか」


「一人で行くつもり?」


翔真「…東雲……」


円香「私も行くよ。日坂くん一人じゃ大神さんは止められない。私も…青柳くんを死なせなたくない」


翔真「いいのか?下手したら、その協会とかいうのに逆らうことになるんだぞ?お前も登録してるんだろ?」


円香「それは日坂くんも一緒…。それに私は


日坂くんに助けてもらったから」ニコッ



翔真「………行こう」




〜〜〜病院前〜〜〜


円香「……………」


翔真「……………」




翔真「………青柳は…大学に入ってからの友達だ」


円香「日坂くん…?」


翔真「無愛想で…理屈屋で…多分これまで他人を襲うことに抵抗を感じていたから…体は襲えと命じているのを裏腹に、それをしてしまえば人間でなくなってしまうと分かっていたから…」


翔真「そんなアイツのこれまでの努力を無駄にしちゃいけない…」


円香「うん…そだね」



翔真「………来たぞ…」



大神「よぉ…。やっぱり待ってやがったか」



大神「しかもなんだ。東雲家の娘までお出ましか…。俺の事は知っているはずだが?」


円香「大神さん。私達には知り得た情報、現在の状況を開示する権利があるはずです。それを踏まえた協会の指示も聞き得ぬままの独断での判断…相応の覚悟と責任をお持ちであると受け取ってよろしいのですか?」



大神「ガキが生意気いうじゃねぇか。いいか?俺は一般の協会の奴らが手出しできない状況や、現場で動く組織の人間だ。そこで判断を誤ればもう次はねぇ。友達だとか、黙ってるわけにはいかないだとか、そんな感情論は現場では通用しねぇんだよ」



大神「テメェも邪魔するつもりなら一緒だ。賞金稼ぎの東雲。」


円香「…!!!」


大神「二人まとめて弾いてやるからかかってこい。経験の差を教えてやる」



翔真「!!!」ゾァッッ!!!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

Watchers Tomorrow カスロム @uver0807

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ