4時間目

今日の私は、いつもより暗かった。もう、やる気が起きない。

勇気の出ない自分自身に苛つく。

何でこんなにもヘタレなんだろうか。自分の事なのに呆れてくる。

と言うか、今日は全てにおいて運が悪い。

朝の自転車で転んだり、提出物を忘れてきたり、授業で二回も当てられた。

本当に今日はついてない。

絵に描いたような最悪な日だ。おまけに雨まで降っている。

ここまで来るといっそ清々しい気もする。

普通、こんな日だったら明日はいい事あるさ。と人は、思うかもしれない。

けれど私は、違った。明日もついてないだろう。なんて考えて笑っていた。

もう、おかしくなってしまいそうだ。

莉子が何かあった?と聞いてきて、良く分からないけどその言葉に苛ついて

莉子に八つ当たりしてしまった。

上田先輩もこんな奴はわざわざ好きになんてならないだろう。

こんなやつと付き合うなんて思うのはかなりの物好きか、好奇心旺盛な

馬鹿だけだと思う。


鳩が飛んでいない。鳩の鳴き声が聴こえない。

心なしか校舎全体が暗いような気がする。

私の気持ちが校舎にまで伝わってしまったのだろうか。そんな事あるはずないのだけれど、もし、本当にそうだとしたら今日の私はどれだけ暗いのか

他人目線で見たくなってきた。


こんなにも暗い日は、早く家に帰って絵を描こう。

そして、今日だけは先輩を忘れよう。

辛くなってしまうと思うから、思い出さないように。考えないようにしよう。

そう、自分に言い聞かせながら玄関に急いだ。


「高村つぼみ」

そう書かれた靴箱から、汚れたローファーを取り出して適当に玄関に投げる。

土で汚れたローファーは、2年間しか使っていないはずなのにかなり年季が入ってい見える。

それから、藍色の折りたたみ傘を自分の鞄から取り出して外に出た。

雨はさっきよりは弱くなっていた。

昨日とは打って変わって、大丈夫な気がしてきた。

私は、情緒不安定なのだと思う。それでもいい。

たまに来るこの素敵な気持ちを忘れないで入れると思うから。


雨はまだ降り続けている。

傘を開いて独りで家に向かって歩き始めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

君と僕と青春と 古澤 灯 @Hrusawa-akari

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ