放課後
帰りのHRも終わり、皆が部活へ急いでいる中、帰宅部である私は
1人校庭の隅の大きな石に腰掛けた。
サッカー部が目の前で練習している。いつもは馬鹿みたいにふざけている
男子でさえ、少しかっこいいと思ってしまいそうになった。
ランニングが終わり休憩時間になった。
全員がスポドリをがぶ飲みしている。流石に炎天下の中2kmはキツイと思う。
上田先輩も疲れ果てていた。
先輩の横に行って、タオルを渡して、タオルで仰いで。
なんて、やってみたい。けど、そんな勇気がないから結局ただの見物人で終ってしまう。
なにか出来ないかと考えた時期もあった。マネージャーになりたい。と顧問の先生に掛け合ったことも1度だけある。でも、全く相手にしてくれなかった。
私がもっと、可愛くて社交的で活発で明るければ。
なんて、ずっと考えている。けど、そんな事、実現するはずがない。
無い物ねだりは、とても虚しかった。あの子は、あれがある。あの子もあれがある。
と、人を妬んだ。
でも、その後自己嫌悪に陥った。辛くて、悲しかった。
何も出来ない自分が嫌いだ。変えたい。変わりたい。
私は、サッカー部の練習風景を目に焼き付けてそれから急いで家に向かった。
家のパソコンで私はずっと、
[サッカー部 マネージャー][活発的 なる為に]
などと検索していった。どこかに答えがあるかもしれない。そう信じて
探し続けた。けれど、どこにも答えはなかった。
私は、もうやる気がなくなってそのまま夕飯まで寝続けた。
目を覚ますと母が帰ってきていた。
「おかえり」
と声をかけると、ただいまと返ってきた。
何気ない普通の会話のはずなのに何故か涙が出そうになってしまった。
中学生は色々と面倒くさいらしい。
この日は、告白する勇気を私に下さい。そう祈って眠りについた。
翌朝目が覚めた。私は、変わっていなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます