天界報告書~世界を救った女神の記録~
月の女神
第1話 終わりのはじまり
世界は黒い。
そう気付いたのはいつだっただろう。
思い出すのも憂鬱になるくらい絶望的で星が綺麗な夜だった。
あの人は言った
「世界は白い」
と。
私に光をくれた人。
大好きだと言ってくれた人。
もう、あまり覚えてはいないけれど…
これだけは言える。
私は貴方のことがー。
「姉さん!もうっ姉さんったら!起きて!」
声が聞こえる…あぁ、あれは夢だったんだ。
「ん…もう少しだけ…」
私が言う。
まだ早朝だと思ったから。
「またそんなこと言って!学校に遅刻しちゃうわよ!」
そう言われたから仕方無く時計を見る。
部屋の空気は、まだ冷たい。
「大袈裟だな〜まったく…まだ9時じゃない…」
時間はピッタリ9時。学校の登校時間は8時10分までだから…。
余裕でオーバー…。
「もうそんな時間!?嘘だよね?」
気付くまで少しタイムログがあった。
急いで支度しなきゃ!そう思ってベッドから降りようとしたが布団が足に絡まってそのまま落ちてしまった。
「だ、大丈夫、姉さん!?」
痛い…かなり痛い。
まぁでも、これが私達、カレンとコトハ、皇姉妹の日常だったりします。
「もう!コトハったら、もっと早くに起こしてくれれば学校間に合ったのに!」
可愛い妹への不満を言いながら私、皇カレンは学校へ向かっていた。
「今日は空が暗いな…」
夜みたい。だってほら星まであって……
ん?星?
「なんで夜でもないのに星が?」
そこはもう私が元居た世界では無かった。
朝方に見た夢の世界。
「そっくり…」
誰もいない、いや、目には見えないが誰かがいる。そんな気がした。
足元には水がはっていた。その水に星の光が反射し、とても綺麗だった。
「あの人…」
夢の中に出てきた、私に微笑みかけていた、あの人。
「いない…どこにも…」
名前も知らない。顔だってよくは分からないけど、
「さがさなきゃ…」
私は走り出した。
足が重い。だれかが引っ張っているみたい。
「ダメ、邪魔しないで」
早く、早く見つけなきゃ
皇カレンの意識は途絶えたー。
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