声
うろしうとか
第1話 声
千日前 大きな家電ショップの4階か5階
僕は彼女を待ちつつ 新しいテレビやオーディオを眺めていた
窓に近いトイレの方から女性の独り言にしては大きなつぶやき
音の調子で不満めいた言葉と感じるのだけど
内容がわからない ガヤガヤと声が続く気配だけがわかる
揉め事かな 彼女のことがちょっと心配になり 聞き耳を立てる
年配かな 低いんだ 話がつかめない
場所を変えて片隅に寄ると大きくなったり小さくなったり
彼女も落ち着かないだろうな
5分は過ぎただろうか おまたせ と彼女がもどる
かなり混んでいたんだね
うん 出てこない人がね 時間がかかった
中で もめてたのかな 文句を言っている人が居たね
ううん ただ待ってただけ
外からも 聞こえたけれど
んー 知らないよ
だって ほら今でも少し聞こえるよ
このあたりなら 小さく なってるけど
・・・
まぁいいや
あ 忘れ物 すぐ戻るね
窓際に寄ると また
大丈夫だった
あったよ
いや もめてないならいいけど
なんの事 さっきの出てこない人以外は居ないよ
だって 今でもここでなら ほら
なに なにもきこえない
あれ 売り場だから指向性のスピーカーかなにか置いてあるのかな
首を回して行き交って位置を探す 見つからない
さっきは 後ろからも聞こえたのに
まぁ いいか
へんなひと
ははは
今はもうない プランタン(春)という名の百貨店の跡地にて
声 うろしうとか @lrn
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