2/14習作『バレンタイン狂想曲』
…ですが、あんまり『男と女』は意識して書いてません。
どうしても書きたいネタがあったのでそれで書きました。
(どちらかというと、ジャンルは『ホームドラマ』だと思います。)
ちなみに書いた日付は2/14(火)です。
映像にすると10分のシナリオ ですが、
おそらく密度が濃すぎたと思います(30分くらいの内容だったかな?)。
※登場人物の人数で察してください。適切な人数は3人です
『バレンタイン狂想曲』
人物
宮下音々(16)女子高生
宮下明(46)音々の父
宮下翔太(11)音々の弟
織屋和羽(16)音々の同級生
桐島愛美(16)同上
多田エリカ(16)同上
桜井清一郎(16)同上
少年サッカーの監督
明の上司
〇宮下家・全景
2階のベランダで宮下音々(16)が洗濯物を干している。
音々、学校の制服の上にエプロン。
物干し竿にくたびれたボクサーパンツにサッカーボールの模様の子供用トランクス。
〇同・キッチン
音々が弁当箱に菜箸でせっせとウインナーをつめている。
弁当箱は3つ。黒い弁当箱に、サッカーボール模様の弁当、ピンクの弁当箱。
火にかけてあるヤカンがピーッと鳴る。
食卓で宮下翔太(11)がスマートフォンでゲームをしている。
翔太「姉ちゃん、まだー? お腹へったー」
電子レンジからおかずを取りだす音々。
音々「ねえお父さん、起こしてきてよ」
翔太「いま手が離せなーい」
ゲームに熱中する翔太。
音々「もう。お父さーん! あさー! ……」
ため息をつき階段を上る音々。
〇同・明の部屋
宮下明(46)が布団で寝ている。
枕元にグラビア雑誌が開かれたまま投げ出されている。
部屋に入ってくる音々、布団に向かう。
途中、開かれたエロ本を嫌な顔で見て、わざと足で踏む。
音々「お父さーん。朝ー」
嫌そうに、うーんと寝返りをうつ明。
音々、足を上げて布団越しに明の腹のあたりを踏みつける。
びっくりして飛び起きる明。
音々「おはよう。着替えて朝食」
立ち去る音々。
明、軽くせきこんで、
明「バイオレンスなのはあいつに似たのかね」
〇同・キッチン
翔太と明が朝食を食べている。
冷蔵庫の扉に貼ってあるカレンダーを見ている音々。2月14日の所に『翔・算数宿題』『パパ・会議資料』。
音々「翔君、算数のドリルもった?」
ランドセルからドリルをだす翔太。
音々「お父さん、会議の資料」
明、資料とusbメモリを見せる。
翔太と明、2人とも得意げな顔。
音々、わざとらしく大きなため息。
音々「当然。昨日の夜、2人とも机に置きっぱなしだったから私が入れといたの」
翔太、目をそらし、明は苦笑。
音々「お父さんは今日、大事な会議! 翔君はサッカーの大事な試合! 2人とも大事な日なんだからもっと気をひきしめてよ」
翔太「そ、そういえばさ、姉ちゃん。今日ってほらあの日だよね?」
テレビでバレンタイン特集。
音々「はいはい。用意してあるわよ」
市販のブランドチョコを2人に渡す。
翔太「ええーっ! ウソだぁー。姉ちゃん昨日、チョコ手作りしてたじゃん!」
明「おっクラスの男子に渡すのか?」
音々「ちがう。ちがうからっ。友チョコ。女友達にあげるの。別にフツーでしょ?」
翔太「でも形ハートだったよ?」
明「そうかあ。音々にも浮いた話がなあ」
翔太「姉ちゃん、ガンバ!」
ニヤニヤする明に、親指を立てる翔太。
音々「ちがうしっ。ホントに違うから!」
市販のチョコを2人に投げつける音々。
〇公立楠高等学校・女子トイレ
洗面所に織屋和羽(16)、桐島愛美(16)、多田エリカ(16)が立っている。
3人とも化粧が濃く、まつげも濃い。
3人の前で肩をすぼめる音々。
音々「これ、約束の……」
音々がピンクの紙バッグを3人に渡す。
エリカ「重たーい。手作りの重みってやつ?」
キャハハと笑うエリカ。
愛美「和羽も考えたよねえ。宮下に手作りチョコ代わりに作らせるなんてさ」
和羽「カード書くだけなんてラクだわー」
音々「……もう行っていい?」
和羽「もしチクったらシメるから。特に桜井君にバラしたら殺すから」
愛美「和羽、桜井君ラブだもんねえ」
エリカ「手作りなら告白絶対成功するよ」
音々、苦々しい顔でトイレを去る。
〇同・廊下
うつむいて歩く音々、男子とぶつかる。
男子生徒、桜井清一郎(16)、笑顔で。
桜井「どうした宮下、暗い顔してんなよ」
音々「桜井君はチョコ沢山貰うんだろうね」
桜井「全部断るからさ。宮下のチョコくれよ」
音々「知らないうちに食べてるよ」
桜井「は? それってどういう?」
そそくさと立ち去る音々。
廊下の曲がり角に和羽が立っている。身をすくめる音々。
〇同・教室(夕)
チャイムの音。
バッグを持ち席から立ち上がる音々。
和羽たち3人が音々の行く手をふさぐ。
和羽「……用があんだけど」
〇公園・サッカー場(夕)
少年サッカーチームが試合をしている。その中に翔太。
ピーッと笛が鳴る。
監督らしき人がメンバーを集めて、
監督「この試合に勝てば決勝だ。厳しい戦いだがうちにはエースの翔太がいる」
頷く翔太。
翔太、ふと向こうの道に音々と和羽たち4人が歩いているのを見つける。
翔太「姉ちゃん? まさか観に来て?」
音々、和羽に髪を引っ張られて、引きずられて歩いている。
翔太「(青ざめて)大変だ!」
サッカー場から駆け出そうとする翔太。
監督「どこ行く? 試合開始だぞ」
翔太「一大事なんです!」
背を向けて走り出す翔太。
監督「戻らんとレギュラーから外すぞ!」
立ち止まる翔太。
翔太「姉ちゃんのが大事なんで!」
走り去る翔太。呆気にとられる監督。
〇公園・公衆トイレ裏(夕)
3人にトイレの壁に追いつめられる音々。
和羽「ねえ桜井君にフラれたんだけど?」
エリカ「和羽カワイソー」
音々「それ私関係ないでしょ?」
和羽「アンタが作ったチョコ突き返されたんだからアンタにも責任あるよね?」
音々「そんなのヤツあたり……」
和羽、音々のチョコを踏みつける。
和羽「ムカつくんだよ、おまえ」
和羽がハサミを取りだし、音々の髪をつかんで切ろうとする。
音々「イヤ! やめて!」
〇伊藤商事ビル・大会議室(夕)
会議室のスクリーンに新商品発表会と映し出されている。
壇上に明とその上司らしき人物。
上司「今回のプレゼン掴みバッチリだよ。重役さんたちも食いついてる。後半も頼むよ」
明の携帯が着信。
明「スミマセンちょっと」
電話にでる明。
明「わるい、翔太。今大事な会議中なんだ。……何、音々が? 本当か? 分かった」
電話を切る明。
明「部長、今から早退します」
上司「どういうことだね、君?」
明「家族の一大事なんです」
有無を言わせず立ち去ろうとする明。
上司「待て。勝手は許さん。クビにするぞ」
明「(立ち止まり)娘のほうが大事です」
駆けだす明。呆気にとられる上司。
〇公園・公衆トイレ前(夕)
ハサミで音々の髪を切ろうとする和羽。
サッカーボールが飛んできて和羽の手からハサミを弾き飛ばす。
翔太がその場に飛び込んでくる。
翔太「おまえら姉ちゃんをいじめんな!」
スパイクを和羽にぶつける翔太。
和羽「なにこのガキ!」
翔太につかみかかる愛美とエリカ。
音々「翔君に何するの! やめて」
走る足音が近づいてくる。
息を切らした明が現れる。
抱えるスーツを地面に叩きつけ、一喝。
明「家の音々に暴力ふるってるのはお前らか!」
ギョッとして逃げだす愛美とエリカ。
慌てて後を追う和羽。
脱力してその場に座り込む音々。
音々「サッカーの試合は? 大事な会議は?」
その場で泣きだす音々。
〇走る車内(夜)
運転席に明、助手席に音々。
明「そんなことがあったのか。大変だったな」
音々の膝の上に踏みつぶされたチョコ。
明「その男子のこと好きなんだな?」
音々は口を閉ざす。
明「よし、その男子の家に今から行こう」
ギョッとして顔を上げる音々。
音々「嘘でしょ!?」
〇桜井家・玄関前(夜)
玄関前に音々が立っている。
扉があいて桜井がでてくる。
ボロボロの包みを渡す音々。
受け取る桜井。突然、笑いだす2人。
車でガッツポーズする明と翔太。
/了
最近のぼくのわるい癖ですが、
脳が長編脳になっています。
なので、10分尺以上の話をつくってしまうことが多く、それを無理やり10分におさめてしまうので、実質10分以上の話になってしまっています。
以下、同期や先生の感想
同期たちの意見:
・音々は気がつよくてイジメられても言い返すタイプではないか?
>>家ではしっかりものの内弁慶的なキャラにしたつもりはあったんだけどなー。伝わらず
・引導さんにしては普通すぎる話をかいてきた。展開が読める
>>どういう風に思われてるかしらんが、最近のぼくは意識的に『客が完全に理解できる内容』を書いてます。それが王道。それが地力の実力だと思うので。展開が読めるというのは裏を返せば、『話の前フリがしっかり効いている』ということ。
・いじめっこたちの思考が単純すぎる。重要キャラなのにテンプレすぎる
>>おっしゃる通り。このへんは2つ内容(以下先生のアドバイスで解説)を無理につめこんだ弊害がでています。ズバリ、『テンプレにすることで説明を省く』ということを僕はしています。
・だんどりすぎてキャラクターが生きてないのがつまらない
>>ストーリー主導で無駄なことを一切かかないスタンスでやっているので、そうなってしまう弊害があるのは反省点。もっとじっくり書きたかった。
先生のアドバイス:
かなりの推敲のあとが見られる。
構成はしっかりしている。
ただし、題材の取捨選択があまりよくない。
『いつも迷惑かけてる弟と父が音々のために頑張る話』と、
『音々が男子にチョコをあげたいのに、いじめっこ3人に妨害される話』の
2つが入ってる。
これをどちらか1つにしぼれば、適切な尺のとり方ができる。
(=つまり大急ぎの早足で話を書かなくてよい)
どちらか1つにしよう。
>>
ホンマその通りなので先生には頭があがらねーっす…
総括
今回はやりたいことをすべて書いたら、
枚数が20分尺になってしまい、規定の2倍書いてしまいました。
それを削って半分にしているので、繋がりが怪しい部分もあったり。でも内容を理解するのに支障がある削り方はしてないので、必要最低限にしました。
何気に2017年になってから一発目のシナリオでした。
最近は課題のシナリオをかかず、投稿用の長編ばっかり煮詰めています。
今年はぼくにとって飛翔の年にしたいですね。
2017/2/17引導
indoシナセン課題集(旧)(2016~2017/3) indo @nido1211
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