洛陽の朝食
市場は朝早くから開き、人の流れが輻輳する。洛陽の内から、或いは外から、
しかしこうした東西の豊富な商品をよそ目にして、多くの人々がまず財を散らすのは、何といっても食事を出す店である。水一杯ばかりを口にしただけで出掛けて来た人々の為に、朝食向きの料理が湯気や香りを立てる。東からの低い陽射しも食欲を誘う。
目に付いた店には「
食材は季節柄もあってか新鮮な物が少なく、干物や漬物が多い。豚や羊は多く魚は少ない。四方の物産が集まる京師とはいえ内陸とあって海産物は少ない。天下三分の時勢にて温暖な地方の産物も不足している。それでも全体として物の豊富さは辺境とは較べられない。
珍しい食品はまだまだ多い。何でも食べてみたいという気になるが、別に機会は今日だけではないのだからと、二三の物を選んで張政は
所が何度か通う内に、張政は奇妙な事に気付いた。洛陽の市場では漢人に雑じって夷狄の人も少なくない。
――今、この王朝はまだ三代目なのに、幼帝が立てられて権臣が政治を執っている。これは漢の最後と同じだ。
或る日、張政と梯儁は市場で食事をしている時、喧噪の中からこんな囁きを聞き取った。
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