帯方郡の張政
帯方郡は、
張政が帯方の
梯儁は、字を
「やあ子文。ああ、君も一緒か」
と言って梯儁はもう一人の男に目を送った。張政は一人の倭人を連れていた。年格好は張政と同じくらいで、名を
梯儁は、張政が留守中の出来事、新太守劉昕が入城した次第についてかいつまんで教えてくれる。そして、
「これからおれたちの身分がどうなるかだな」
と、さして心配でもなさそうに言う。これについては張政も特に心配はしていない。魏王朝からは高官が派遣されて来るだけのことで、別に下役になる人材の出所が有るわけでは無いから、どうせ自分たちがそのまま働く事になるに違いない。自分の様な下役には誰が主君になっても大した違いは無い、新太守の顔を視る機会が有るかどうかさえ怪しいものだと思う。梯儁の思う所はまた別であった。
「まあわが郡も中国に通じたからには、
と梯儁は言う。洛陽と言えば、上古に
「すると
と張政はからかう。計吏とは会計関係の役人で、上計吏になれば朝廷に報告をするのに公務として上京する機会が得られる。しかしそれには何かと要領が良くなければならず、
「なに、上計吏の荷物持ちくらいにはなってやるさ」
と言って梯儁は哄笑した。難斗米は静かに二人の会話を聞いている。
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