第八夜 頭からバリバリ
まるでコンサートの会場のようなつくりの、石で出来た椅子に腰掛ける。
コンサートの会場のような、といってもそれはつくりの話だけで、あたりを見渡すと草が生い茂っていて、目の前には途方もなく大きな大木が聳え立っていた。野外である。
人がまばらにその石段に腰掛けている。そして私の隣には妹がいた。
私も、妹もその場にいる全員が白いコップを手に持っている。その中には生きた蟻が三匹入っていた。
「……あれ」
目前の大木の、大きな樹洞に何かいた。それは鹿のような、人のような、奇妙な生き物だった。今ならわかる。あれ、も○のけ姫のしし○様だ。そしてし○神様は結構フレンドリーだった。
し○神様が蹄でリズムを鳴らす。それと同じリズムを私たちが手を叩いて鳴らす。
そんなに難しいリズムではない。でも緊張はした。
とんとんとん、とんとんとん。とんとんとんとん、とんとんとん。
何パターンか続けると、し○神様が満足したのかにっこりと笑う。にんまり、にぱっと、どう言えばいいのだろうか。でも楽しそうなのはわかる。
終わった終わった、とホッとしたついでに三匹の蟻を見た。もう用済みだと思った。しし○様とリズムをとっている間に蟻がいないと大変なことになってしまうけれど、もういいだろう。
今にして思えばなんて残酷なことを考えてしまったのだろう。私は蟻たちを水溜りに沈めた。トドメに足で踏んだかは記憶にない。
もういらないしな、と思って下を見ていると、目の前に誰かが立っていた。
だれか? いや、なにか。 重い。怖い。怖い。
しし○様が目の前に立っていた。さっきまで樹洞の中にいたのに、いつのまに。
そこに先ほどまでのゆったりとした、奇妙な空気はない。
押しつぶすようなプレッシャー。間違いなく怒ってる。
ああ、やらかした! 失敗した!
私はそのあと生きたまま体を捌かれた。しかしそれでも生きていた。その肉は大半はしし○様が食べたが、数切れ残った分と、付け合わせのサラダは私が食べることになった。
ひどく憂鬱だったが、 妹が「自分の肉をほとんど食べなくていいなんて、優しいね」と言っていたので、それもそうかと思い、フォークを握ったその時、目が覚めた。
夢日記やってみた 流土 @kasumire
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