第七夜 VR NPCside


 私はVRゲームのコース案内を行っていた。


 学校を舞台としたゾンビゲームでプレイヤーは、学校内の道具を利用しながらゾンビと戦うことが出来る。

 私はその学校のあるポイントに立っており、ヒントやどこに行くべきかわからなくなった時に口頭で案内を行う案内人だった。


 いつも通りに聞きに来るプレイヤー達に情報を落としていると、エラー音が発生した。

 どういうエラーが発生したかはわからない。が、たっているだけしか出来なかった私は歩けるようになっていた。


 校内を教室で拾った1メートルほどの三角定規を手に歩き始める。三角定規は距離をとるためだけの武器なので殺傷能力はほぼない。


 何故三角定規を持っているか。それは今までプレイヤーではなかった私に襲いかからなかったはずのゾンビが襲いかかってきたので、その護身のための武器だった。



 私は脳内にインプットされている地図から攻撃力の高い武器を探す。場所は校長室。

 鍵が掛かっているが、中に入って探せば高威力の鉈が入っている。


 私は知識を駆使しながら鉈を手にいれ、ゾンビを始末しながらプレイヤーを探していた。


 探す傍ら私は情報を仕入れていた。

 プレイヤーの死体は残らず消えるはずなのだが、そのまま残っていたり、ゾンビになっていたりした。


 死亡したプレイヤーのリアルでの影響は現時点不明。


 プレイヤーの命を優先するべきだと理解した。



 ゾンビのうめき声以外の声が聞こえ、私は教室へ入った。入口には机や椅子でバリケードがはられており、数体ゾンビが集まったところでは侵入するのは困難に思えた。


 バリケードを登り、中に入ると中には三人のプレイヤーがいた。

 一人を囲うように二人がサイドにおり、真ん中の一人は腕を抑えて呻いていた。二人は「大丈夫か」「おいしっかりしろ」と真ん中の一人に声をかけているようだった。


 感染 可能性あり


 近付くと一瞬激しく警戒を示したサイドのプレイヤーだったが、ゾンビでないとわかると警戒を解いた。


「なあ、あんた! 助けてくれあいつが死にそうなんだ!」


「どうなってんだよ!」


 近付くと真ん中のプレイヤーの状態がよくわかった。

 感染している。


 サイドのプレイヤーに離れるように勧告する。


 痛みに呻くプレイヤーが私を見る。


 このままでは二人のプレイヤーも感染する。プレイヤーの生存を優先。


 私は鉈を振りかぶった。




 ピピピ、目が覚めた。

……普通に怖かった。

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