マルで見えないシカクのシカク

あー、もうじれったい。

どう見ても好きあって付き合ってるのに告白がまだなんて。

こんないい男の子に毎回花を贈られて心動かないなんて

機械か何かじゃないのかい?

と、最初の方は思ってた。


君が5回目か6回目にお店に来た時だったと思うよ、私が

「何かお悩みですか?」って聞いたら洋画のセリフみたい

に「問題があるのは僕の目なんです」って言ったね。


黄色、白、紫、真っ赤、白。

特徴あるお客さんだったからそんな感じの買い方をしてた

のを覚えててよかったよ。

好き嫌いじゃなくて、もしかして苦手な色がある。

お店の中でそういう選び方をしてたよね。


それからはちょっとしゃべるようになって、「彼女」の方

にも問題がありそうな気がしてたよ。

だから、キミがとうとう自分で花を選んだ時に何も言わな

かったけどちょっと嫌な予感がしてたよね。


でも、この前、2人で来た時にはっきりわかったね。

「彼女」の目にも問題があるって。


がちょっと弱いんよ。キミの彼女。

それと、うっかり言葉を知ってるから早とちりしちゃった

のも、こっちはびっくりしたよね。

冷たい子じゃない、熱いところのある、真剣な気持ちだから

なかなか前に進めなかったんだって嬉しくなったよね。


キミの一番いいところ取っちゃったのは悪いけど、2人とも

ちょっとだけなのよ。

お互いに補い、支えあえるのはきっと2人だけよ。


無責任かもしれないけど、あんないい子で理解のある子は

なかなかちょっとそこらにはいないね。


いつも頑張るキミへ、花屋のおばちゃんから秘密のエールを

送ってあげるよ。


「大丈夫、これからは2人でならきっとうまくいくよ。」

「なんせ、2人いっしょになるときの色はなんだから。」

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重なり合うシカク 宮脇シャクガ @renegate

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