終焉

その日、月は紅に染まった。

月の都にいきなり火が放たれ、黒い人塊がその中暴れ回った。

さらに、糞をまとった者達が竹槍をぶん回し、炎から逃れた人々を次々に串刺しにしていく。

なんの苦痛もなく、災害もない月の都の人々はたちまち地獄の釜をひっくり返したような阿鼻叫喚に陥った。

月の王は自分ではどうすることもできず、ただ月に祈る。

その背後から異臭が這い寄る。

「月はもはやかぐやの味方」

驚き振り返った王がその女の名を叫ぼうと開いた口目がけて竹槍が振り下ろされていた。

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かぐや要塞 杉本アトランティス @novelatrantis

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