第151話 春の日

ほんの少し柔らかくなった

朝一番の空気から

かすかに感じるぬくもりに

縮こまった身体を伸ばす


風にはためくシーツから

せっけんのにおいがして

渇いた身体にじわじわと

春の日差しが染みてくる


こんなにのどかな休日に

なぜか心はからっぽで

風景が穏やかであればあるほど

虚しさが果てなく募り

カラカラに渇いたノドが

甘い水を切に求めて

届かない手は無残なほど

何も触れられず空を切る


でも泣きたくなる弱さには

ずいぶん前に鍵を掛けたから

ぐっと歯を食いしばり

この切なさを噛みしめて


いつの日か咲くだろう

淡い花に思いを寄せて

今日という春の日を

一人静かに受け止める

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