第150話 こぼれ落ちる命を

震える指の間から

命がこぼれ落ちていく

それを止められなかったのは

キミも僕もきっと同じで

そのことに妙に安堵しながら

それでも罪の意識にかられて

なぜ壊れていったのが

僕じゃなくてあなただったのか

なぜ見送るしかできなかったのが

あなたじゃなくて僕だったのか

答えのないそんな問いかけを

ただ延々と繰り返し

そこにある絶対的な壁こそが

交われない二人を示す

あなたと僕とキミと誰かと

それぞれ死ぬのか生きるのか

選んだ果てに出来た溝

同じ日々は生きられなくて

誰のどんな選択さえも

干渉することさえできず

ただ遠くから見ているだけの

無力な自分を責めたりもして

どうにもまとまらない心を

膝を抱えて持て余す

なぜかここに生き残っている

死を選べなかった私


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