第138話 夢一つ
淡くかすんだ目の端に
置き去りにされた夢一つ
天に掲げた両手から
ひらりこぼれたその夢は
熱と確かな手触りを
感じた最期の瞬間に
ほほえみながらその胸に
白いナイフを突き立てた
ゆらり潤んだ目の端に
見殺しにされた夢一つ
冷えて固まる欲望に
己の熱を奪われて
深く沈んだそのときに
隠しきれない情熱は
再び息を吹き返し
浮上するのを待っている
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