第130話 半月

薄明かりに揺らぐ半月が

まるで涙みたいに見えて

訳も分からず切なくなる


ぼんやり映し出される雲は

涙を隠したいかのように

淡く月を覆い始める


たった独りの帰り道

すれ違う電車の中が

妙に明るいように見えて


心許ない足取りを

全て夜のせいにして

ただ静けさを歩く




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