俺の心の中
俺の意識があったのはここまでだった。
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暗い
暗い
何もない
声が出ない
身体が動かない
意識があるのかどうかすらわからない
だけどこれだけはわかった。俺の目の前には誰かいる。そう認識すると周囲は明かりを取り戻した。
目の前には俺がいた。いや正確に言えばジャスティがいた。俺は身体も動き声も出るようになったのを感じていたがまったく動くことができなかった。
「こういう場合は初めましてでいいよな」
俺が動かないことに待ち切れたのかそいつは俺に話しかけてきたが俺は反応することができなかった。
「おーい。聞こえてる?鈴木正義君」
「お前は誰だ。ここはどこだ」
俺はこう返すので精一杯だった。
「僕が誰かって?それはないだろ。今日1日僕として過ごしていただろ。俺はジャスティだ」
目の前にはジャスティがいる。そこで俺は自分の身体が前世の身体に戻っていることに気がついた。
「まだ後者の質問には答えていなかったな。ここはお前の夢の中の俺とお前の心の狭間という感じだ」
「心の狭間……」
「どうやらお前の心が弱った時に繋がるらしい。」
そうだ俺はグルンデと模擬戦をやっていてそこで意識を失ったんだ。
「俺はいつも通り寝て起きたらここにいた。ここからお前の行動は見ることはできる。お前の心の隙間に俺が入り込んだそんな感じだな」
「お前は元に戻りたいのか?」
俺はジャスティにそう聞いた。
「俺は…そんなことよりお前は戻りたいのか?俺はお前の前世の記憶を持っている。お前はヒキニートだったよな?ヒキニートの意味はわかるよな」
「言葉の意味はな」
「だったらわかるよな。ヒキニートが人生の負け組だってことくらい。そんな負け組にお前は戻りたいのか?」
俺は前世の記憶をはっきり思い出せるわけではない。記憶を取り直したくないといえば嘘になる。嘘になるが…
そんな俺の葛藤を見抜いたかのように
「お前は前世のヒキニートの頃の惨めな記憶を取り戻したいのか?」
ジャスティの辛辣な言葉俺の気持ちを決定付けた。
「俺は自分で…自分の力で記憶を取り戻したい」
俺の前世がヒキニートだったんだとしたら人に教えてもらって記憶を取り戻しても意味がない。惨めな負け組のままだ。
「今のままのお前力でどうにかなると思ってるのか?」
確かに今の俺の力じゃどうにもならない。
この世界で力をつけるには
「こんなことお前の身体に取り付いているような俺なんかが頼めるようなことではないけど…俺にとって剣を教えてくれ」
「本気か?」
「本気だ。俺に剣を教えてください」
「わかった。お前に剣を教えてやる。やるからには弱音を吐くなよ。弱音を吐いた瞬間この話はナシだ」
「よろしくお願いします」
「ただ今日は時間切れだ。まだ当分お前と繋がったままだからまた明日お前の夢で剣を教えてやる」
「ちょっと待ってくれ」
俺は大事なことを聞きそびれていた。
「あいつらとどう接すればいい。正直に俺はジャスティじゃないって話すか。それとも俺がこのままお前を演じ続けるのか」
「レオンにだけは話してもいい。あいつはああ見えて頭が良いしそれに良いやつだ。だからお前のことを信じてくれる」
「わかった。改めてこれからよろしく」
「よろしくな正義」
俺とジャスティはお互いに挨拶を交わし俺の意識は再び遠のいていった。
異世界転生 ヒキニートの俺が王女様と? @dragon0106
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