異世界転生の現実

 


 こう思わずにはいられなかった。


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 その他の模擬戦はレオンとハンナほど白熱した闘いではなかったが、いくら刃の潰れた剣とはいえ実際に見たことも触ったこともなく、テレビの時代劇などでしか見たことのない俺にとって恐怖さえ感じるものだった。


「負けた〜 」


「ギリギリだったけどね」


 どうやらマシューとリアムの試合は以外にも小柄なマシューが勝ったらしい。


 次々と模擬戦が消化されていくなか俺は


(ティメルとグルンデ以外なら)


 などと思っていたがそううまくはいかず


「次はジャスティとグルンデ入れ」


 最悪の組み合わせとなってしまった。


「グルンデなんて楽勝だろジャスティ」


「・・・頑張って」


 しかしこの時点では俺にはまだ希望があった。


(これは小説とかでよく見る異世界転生だ。もしかしたら俺には特別力が宿っているかもしれない。)


 と俺はそんなことを思っていた。


「両者相手に対して礼」



「「よろしくお願いします」」


 模擬戦が始まってしまった。


 初めはグルンデも様子を見ていたいのか自分からは攻めてはこなかったので、攻められたら受けられないし避けられない俺は意を決して自分から攻めた。


 キン カーン サッサッ


「ふっ」


 グルンデが笑った。


 それもそうだろう。俺は基本的にヒキニートだったのだ。急に模擬戦をやれと言われてうまく体が動くわけがないし、人を攻撃などしたことがない。拙い俺の剣など俺より長い間訓練してきたこいつらに通じるわけがない。


 結果的に言おう。俺には特別な力などなかった。


 そこから先は一方的な試合だった。

 


 グルンデは相当普段の俺たちの対応に腹を立てていたのか、刃のない部分ではなく打撃としての威力の高い剣の腹の部分で攻撃してきた。普段より攻撃はしづらいはずだがより痛めつけるためにあえてそうしているらしい。さらにすぐに終わらせないように腕や足ではなく腹や背中を狙ってきていた。


「ぐはぁぁ」


 グルンデの剣がみぞおちにはいった。思はず肺にあった空気を全て出してしまった。


 俺も一応反撃をしようとしたが逆に慣れない剣の重さによってバランスを崩しまいよろけてしまった。

  グルンデは俺をいたぶることにも飽きたのか、模擬戦の後の面倒を考えてなのか俺の剣めがけて本気で攻撃してきた。


 俺はもともとバランス崩していたのに加えグルンデの追撃により受け身を取ることもなくそのまま頭から後ろに倒れてしまった。


 俺の意識があったのはここまでだった。



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