続、自作品における作者と読者の感想の相違について、何故作者の感じる面白さは伝わらないのか

 皆さんおはようございます、あさかんです。


 過去に頂いたコメントを読ませて頂いて、もう少し突っ込んだ考察をしようと今回はこの続テーマで書かせて頂きます。


 前回の『自作品における作者と読者の感想の相違』では作者と読者では自作品の理解度が違うので面白さを感じる熱量も異なる、と考察しておりました。


 特にその小説にしかないオリジナルの言葉や名称などが出てくる場合、それらを当たり前のように知っている作者と、順を追って覚えて行かなければならない読者とでは感情移入の度合いも違うし、没入感も異なります。


 そして、新しく読み始める作品より、何度も読み返す作品の方が面白く感じることが多いという例えで、それら全てが『物語の理解度』によるものと紹介しました。


 今回はこの物語の理解度が最初から高い作者と新規の読者では面白さの度合いが違うという点に関して更に突っ込んだ内容でお届けします。



 『原作やアニメは見たこと無いけど、その作品は知っている』ってことも多いと思います。例えば物語が難解で有名な新世紀エヴァンゲリオンなどのブームの一旦はパチンコ・パチスロにあると言われています。


 実際に私の周りにも、今までアニメなどに興味がなかった人もパチンコ・パチスロで興味をもってエヴァンゲリオンハマった方が大勢いました。


 パチンコ・パチスロはボーナス中に総集編のような映像が流れたり、プレミアム演出では名シーンなども流れます。


 つまり、その筐体をやり込んだ方はアニメを見る前から粗方の面白い要素や話の流れを理解しているのです。恐らく、アニメを見慣れていない方がそのままエヴァを見ても『わけがわからん』でリタイアすることが多いでしょう。しかし、アニメを前記のように既に登場人物や世界観、面白い要素なのを知っている状態で見始めれば全然違います。『こいつは今はこうでも、後の方でめっちゃカッコよくなるんだ』などと、話の先を見たくなることも多々あります。


 読者が作者よりも面白さを感じにくくなるのは、作者の表現力が低いからと思う方もおられると思います。もちろんそれも否定はできません。しかし、表現力が高いからといって読者の『物語の理解度』を最初から作者レベルまで高めることは不可能です。


 例えば『主人公を必死で守ってきたヒロイン』がテーマの物語ですと、最初から『ヒロインが主人公を必死で守る』理由の肝は明かされません、大体、どこかの物語の山場で明かされ、名シーンへと繋がります。


 新規の読者はその理由が明かされた時点で『そうか、このヒロインはそんな理由で主人公を守っていたんだ』となり、ヒロインの高感度も上がるのですが、作者や何度も読み返している読者は既にそのことを知っているので、最初からヒロインの行動の思いなどを理解した上で山場までの物語が進んで行きます。


 つまりどんなに表現力が高くとも、後々でわかる物語の面白さを最初から新規の読者に伝えるのは難しいということです。


 飽く迄も今回のテーマは『何故、自分は自作品をめっちゃ面白いと思っているのに、読者はつまらないと読むのをやめてしまうのだろう』と悩んでいる方へのメッセージとなっております。


 結局のところ物語とは後々になって面白さが伝わることが多いので、初期の段階で飽きさせず何人の人が物語の山場まで読んでくれるかに掛かっています。


 ですので、書籍化などでも書籍化前の『時系列順』から『物語の肝』の部分を最初に持ってくるなどの改稿がよくあったりしますので、作品を作る際は『物語の理解度が高まる』中期の部分まで読者に飽きさせずに読ませる工夫が必要なのかも知れませんね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る