先進性(オリジナリティ)と普遍性(王道的展開)を融合させるには
皆さんこんにちは、あさかんです。
カクヨム暮れの祭典Webコンも開催まで後ひと月に迫っておりますが、皆さま執筆具合は如何でしょうか。執筆自体は冬休みに集中して一気に書くというのもアリですが、構想や大まかなプロットはある程度構築しておかないと時間があっても筆が進まないという事態に陥ってしまいますので今のうちに起承転結の流れ程度は決めておいた方が良いかもしれません。
作品のクオリティ以前にまず物語をきちん長編に収めて(完結させる必要はないが、10万文字程度の章感覚で一旦起承転結を入れておかないと応募作としての体裁が厳しくなる)応募することが大前提ですので、10万文字以上の作品をまだ書き切ったことの無い方は結の部分であるオチを決めておくだけでも、意外と他の部分はそれに向かって進めていけばアドリブでも何とかなる場合も多いと存じます。
さて、余談が多くなりましたが、今回のテーマは確かドラゴンブックのファンタジーコンテストの募集メッセージにあったと記憶している、先進性と普遍性の融合について考察してみたいと思います。
私は主に先進性をオリジナリティと解釈しておりますのでその観点で話を進めていきます。カクヨムはカドカワレーベルが全面的にバックアップしておりますので、コンテストが開かれるとプロの編集者の声というものがこれでもかというくらい届いて来ます。
そしてプロの編集者の方が(個人的に)作品に一番求めるもと言えば今まで見たことのない斬新な物語でしょう。
勿論レーベルの視点からすれば売れるものでなければいけないのは大前提です。これはある種のジレンマに近いことでもあるのと思うのですが、コンテストの受賞実績を見てもオリジナリティを重視した斬新な設定の物語は応募数こそ徐々に増えていても中々受賞に繋がらないのが現状です。
特にWEB小説は気軽に読める反面、漫画喫茶のように本を買わなくても他に幾らでも作品があるので読者がすぐに目移りしてしまうという特徴もあります。他の作品にないオリジナリティの要素を持つ設定が現状の読者に『これは面白そうだ』と定着するまで読み進めてもらえるかどうかのチャレンジでもあるのです。
それが王道的作品であるならば、読者も既存の作品を読んだときの記憶と照らし合わせることで『この展開は面白くなりそうだ』と半ば見込み評価をして貰えますが、今までに無いような全く新しい作品ではそうもいきません。
ですのでオリジナリティを重視しつつ読者離れしない作品にするために、先進性と普遍性を融合させる必要があるのですよね。
私は王道中の王道と呼べる設定が何かと考えると、その最たるものは恋愛やラブコメの要素だと思います。男女の恋仲を描いたものは日本においても平安時代の歌にもあるように、絶対的な普遍性を有する要素です。どんなジャンルの作品でも、例えばファンタジーでもスポーツものでも戦記ものでも何でも大半の作品にヒロインが登場しており、大小はあるものの少なからず主人公とのラブコメを演出しております。
もちろんラブコメ要素の無い作品もありますが、それは同性どうしの友情を描いたものやTS(転生なので性別が転換されたもの)など、ラブコメを演出すること自体が不自然な物語が主でしょう。
つまり恋愛やラブコメの様相は王道的展開の中で一番織り交ぜやすい性質を持ち、登場キャラクターが男女であればどのような展開でも自然に溶け込ませられる優位なポジションであると言えるのです。これは決して無理に作品内で恋愛劇を行わせなければいけないというものではなく、主人公の奮戦がヒロインやサブキャラの異性に『カッコイイ』と思わせるような描写があるだけでもれっきとしたラブコメ要素として成立します。
それが物語の主たる軸でなくとも話が続くなかで先の演出がきっかけになり、キャラクターどうしの絆に繋がったり、キャラクターの行動原理として説得力を増すことにもなり得ますので、ラブコメ要素は不要と思っていても取り敢えず匂わせておくと何かと役に立つでしょう。
しかし、その分量は気を付けなければいけません。Webコン4のキャラクター文芸部門の特設メッセージにも『恋愛以外を主のテーマにしたもの』とありますように、恋愛ラブコメ以外のジャンルですと、本当に大事なオリジナリティを有する物語の大骨が恋愛要素に喰われてしまうようなぶっ込み方は大変危険であります。
サブ要素というのはあくまでもスパイスのようなものですので、それ自体が作品の持ち味を大きく変えてしまうと作品としての全体評価に影響を及ぼしてしまうでしょう。
『憧れ』や『主人公へのほっとけない感』など、ごく淡い恋心を匂わせる程度の隠し味程度がベタベタな恋仲よりも逆にヒロインの価値を大きく高める場合もありますので、使用量に注意しながら恋愛ラブコメ要素を適切に投入してみては如何でしょうか。
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