Webコン4異世界F特設メッセージ「異世界の創造」の考察


 皆さんお久しぶりです、あさかんです。


 第4回カクヨムWeb小説コンテストが間近に迫り、大急ぎでプロットを練っている方もいるのではないでしょうか。


 私はコンテスト情報は別のエッセイ(https://kakuyomu.jp/works/1177354054885673627)に引っ越しをして独立しているのですが、今回Webコン4の異世界ファンタジー特設メッセージで結構気を付けなければいけない点を見つけましたのでここで深く考察してみたいと思います。


 先ずはそのメッセージのご紹介です。


『読者が実際に行ってみたくなるような異世界が構築された作品を募集します。例えば、せっかくの異世界がほぼ現実世界と同じような社会であればそこを舞台にする意味が薄くなり、また周囲の文明度を下げることによって相対的に主人公が活躍しているように見せる構造だと、読者に「そもそも主人公が来るまでに人間が暮らす文明世界として成立していたのか?」という疑問を抱かせてしまいます。そのため、「読者がワクワクするような異世界の創造」を大事にしてください。その上で、「現実世界と異世界のギャップ表現が適正か」ということにも気を配ってみてください。。』


 これは異世界ファンタジーの特設メッセージの一部なのですが、とても丁寧に書いて下さっていると思います。以前から、コンテスト情報の募集メッセージは具体的に書いていないと、応募する側もどういったものをレーベルサイドが欲しているかわからないと述べさせてもらっていますので、今回のメッセージの熱量に私自身大変嬉しく思いました。


 さて、上記のメッセージを端的に説明すれば、『異世界の文明や世界観設定に重点を置き、読者がその世界を楽しめるような世界創造をして欲しい』ということだと思います。


 そして、敢えて『そもそも主人公が来るまでに~』と例に挙げていることから、異世界転移、転生の条件で述べておられるのだと思いますが、現実社会の高文明度を用いて俺TUEEを表現するとすれば相対的に異世界の文明度を低く設定すればするほど、その効果は顕著に現れるメリットがある反面、その点において余りにも異世界の文明度を下げてしまうと、現地人などのリアルな生活感や行動原理に矛盾を生じさせてしまうのではないか?という注意ではないでしょうか。


 実にもっともで、意義のあるメッセージだと思います。


 しかし、このメッセージを曲解して受けてしまう方も多いかと思い、今回このエッセイを書かせていただきました。


 まず最初に申しておきたいことは、大風呂敷を広げるつもりの超長編小説でもない限り世界観設定を過度に表現するのはかなり難しいです。10万文字程度で起承転結を入れて一旦収拾させるつもりの小説ならば、現実世界と対比したオリジナルの世界観を表現する余裕は殆どないと言って良いでしょう。


 ただの異世界ファンタジーであれば、その世界に独特の機能があったとしても、それが常識として特別深く触れずに進めることが出来ますが、現代社会の人間を主人公にした異世界転移、転生ものだったら否応が無く現代社会との違いを説明せざるを得ません。


 更には、短期間にオリジナルの設定や用語が頻発すると読者の脳内キャパがクラッシュしてしまう危険があります。


 例えば作品に『ブルッド』というものがあって、最初の方に詳しく説明していても、後でその単語が出てきた時に『ブルッドって何だったけ?』となった瞬間にちょっと読むのが疲れてしまうことがあるのです。


 それも一つや二つならまだいいのですが、「『ブルッド』が『ベベレギ』になったせいで『バーフ』の『ボリント』が『ププレスク』まで上がっちゃって、大変不味い状態ですぞ」とか言われても、読む方としては一度説明があったとしてもちんぷんかんぷんです。


「ワクワクするような異世界の創造」というのは、その世界が現代社会とは違う信念や生き方を象徴するような太い設定が一本あれば良いと考えます。


 私的には10万文字程で一旦完結させるくらいの分量で書くならば「この世界の人は何よりも自分の命よりも家族や同族のことを大事にする」くらいの現代社会との違いを屋台骨に持ってくるので十分だと思います。

 

 その中で、異世界で生活する現代人がそのギャップに悩まされ、苦悩し、理解されたり、されなかったり、それでも困難を克服しながら物語の終末に向かっていく部分を描ければ十分共感してもらえると存じます。


 

 色々書かせていただきましたが、まずはしっかりとした魅力あるキャラ設定や、メインストーリーの起承転結を構築したうえで、それを阻害しない程度のワクワクするような世界観を作るのが最善だと存じます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る