第15話思い出

港から夜の海を見ながら俺は告白した。

 「俺、お前のことがさ・・・・・・電話してる時から思ってて、部活の時はまあ可愛いな程度にしか思わなかったんだけど・・・・・・でもなんかだんだん思っちゃって、そのさ、俺と付き合ってほしい」

 「・・・・・・・・・急に言われたから」

 「うん」

 「何ていうか・・・・・・友達・・・・・・」

 「友達にしか見えない?」

 「・・・・・・うん」

 「そっか・・・・・・」

 「ごめんね」

 「・・・・・・じゃあさ・・・・・・その・・・・・・好きな人ができるまで」

 「え?」

 「君に好きな人ができるまで。それまでそばにいさせてよ」

 「・・・・・・うん」

 「・・・・・・ほんとに?」

 「うん」

 「ありがとう・・・・・・おれがんばる」

 「別にいいよ。いつも通りで」

 「・・・・・・付き合ったんだよね」

 「そうだよ」

 「じゃあ、手つないでもいい?」

 「いいよ」

 「・・・・・・・・・」

 「・・・・・・・・・」

 「ありがとね。今までありがと。俺楽しかったよ。これからも一緒にいたかったけどさ、こうなっちゃったから。これからは別々でね。元気で・・・・・・また会おうね。一緒にカラオケとか行こうね。歌、好きなんだ。歌ってるところ。だって上手いもん。

 それじゃあ、けっこう引きずりすぎちゃった。

 あーあ。

 へへ、惜しいことしたなあ。

 もう。

 じゃあ、そろそろ行くね。

 次会ったら、ちゃんと挨拶してよ!

 って、たぶんこれお前が読むことはないけどさ。

 いい加減、行くよ。

 じゃあ、

 バイバイ。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

この話に名前なんていらない @higasakota

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ