君の元へ



太陽が海に溶けた

ひやりと冷たいその水に体を預けて、

ひとつ、流れる星を見る


「君は、何を願うの?」


ただ波に掻き消されてしまうだけの声だった。

誰に届くこともない、酷く寂しい声だった。


深く息を吸いこんで

小さな夜空へ手を伸ばす


「君がいない世界って、馬鹿らしくって反吐が出るね」


月明かりが頼りなさそうに孤を描いて

幸せそうに沈みゆく彼を見送った。

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夢を魅せて じんちくむがい @jinthiku

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