第4話 マイナスのマイナ

また迷路のような道を抜けると、そこには可愛らしい扉があった。ピンク色のペンキで雑に塗りたくっただけだが、そこがまたワンポイントとしてまとまっている。


「はやく入って。」


いわれるがまま中に入るそこには部屋のドアとは打って変わって奇抜な部屋だった。

すべての物がピンクである。目がチカチカする。


「かわいいでしょ?」


マイナがこちらを見てニヤッと笑う。白い肌と白い歯がピンクの部屋のおかげで綺麗なコントラストが浮き上がる。そうだねと答える前にマイナは奥へときえる。

アピールしたかっただけか・・・


しかたなく腰を下ろすと周りに目を向ける。よく見ると女の子の部屋とは似つかわしくない物がいくつかある。古い写真や銃、これは何かのエンジンだろうか?

よくわからない物もチラホラある。


「おまたせ。ほらこれ、ガン爺からもらったの(コフィ)っていうみたいだけど

美味しい?」


そういいながらマイナは黒い液体をだしてきた。見た目とは裏腹にいい匂いがする。

おそるおそる口に入れてみるとこれが意外といける。


「それでどうして、あんなところにいたの?追われてたみたいだけど?」

マイナが急に口を開く。

「事故に巻き込まれた友人を探している。」

コウジがそう言うと、

「事故?別にあの辺りは何も異変はなかったはずだけど・・・」

とマイナは腑に落ちない顔をする。

確かに事故といってもサイレンとともに避難しただけだし、実際に事故を見たわけではない。しかし事故でないとしたらあのサイレンと避難は?


コウジが1人で考え込んでいると、マイナがすっと立ち上がる。


「じゃあ今すぐ探しに行こうよ」


そういうとコウジの手を引っ張り、あの倉庫に戻る。

そしてまた例の奇妙な乗り物に乗る。なんでも初めてマイナと出会ったあの路地に

直結する形で以前コウジたちが高濃度汚染区域と呼ばれていた所の一角があるようだ。もしかしたらナカモトもそこにいるかもしれない。


ガッチャン ガッチャンと揺られながら高濃度汚染区域に向かう。








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