-濡れ腐った贖罪-

物苦しき雫

第1話 -甘味-

__縛られた、彼の身体。

彼の逞しい胸板を、サディスティックに撫で下ろして行く。半端に崩した彼の襟シャツが、私と彼自身の汗で濡れていた。甘くて、雄臭い様な。私の大好きな香り。飛んでしまいそうになる意識の中、ガムテープが貼られた彼の唇を奪う。激しく、激しく。ただ求めて至る。お洒落に塗った、そのグロスリップが滲んで行く姿を映す彼の瞳が、虚ろぐ。恐怖が、溶けて出て来る__。

そして、脈打つ彼の″愛″を、私の″愛″に招いた。何度も擦れて行く痛みが、深い愛情を注いでは、強引な快楽へ導く。荒い息使いな彼は、自らその腰を振る。嗚呼、落ちた。私は、彼を縛る″鎖″を外す。

すると彼は、野獣の様に私を強く抱いた。激しく、その寝具を揺らす。軋む寝具の音が、俄に鳴り響いては、スパイスとなる。何度も絶頂に果てる度、彼からは絶望が消えて行く。焼ける様に熱い其が...私の中を伝う。アングラに包まれた室内を、冷房の冷たさが襲う。


彼は、辞めなかった。何度も何度も、突いていた。喘ぎ啼く私を、押さえ付けて。其れに、私も果てる。安易且つ猟奇染みた既成事実が成立して行く。

彼の鍛えられた、太い腕が私の胸を触る。其の手を、私は求める様に自身に押し付けた。私を、殴って欲しい。気持ちがいい..彼に付けられた、その首輪を付かんでは、引き寄せる。...より濃い口付けを交わす。舌を絡ませ、液が行き交う。そして、何回とまた、果てた。...汚れた彼の″愛″が、私の″愛″から出て行く。もう、彼は私に愛を沢山注いでくれたから、其れすら愛しくなる。


そして、私は彼の″愛″をその舌で下から上へと舐めて行く。絡まる其の愛が、喉の奥を刺激した。そして、確信たる感覚でトリップしてしまう。



でも、其は喜びなのだ。何故なら..彼はもう。

_______完全に私の″物″。




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