第3話
湊と荒川美里が付き合い始め一年が経過しふたりは高校三年生となっていた。
◆◆◆
「「おはよう」」
湊と美里の二人が仲良く手を繋いで教室に入ってくる。それを見てクラスメイト達は今日もお熱いねえと囃し立てる。これが今や朝の恒例行事だ。
ふたりは別れるとそれぞれ友達のもとに向かい楽しそうに喋り出す。
「湊、俺にも彼女紹介してくれないか」
「やっしーはそのおちゃらけた性格をやめた方がいいと思うよ」
「じゃ、一生無理だな。この本みたいに異世界に行ければいいのに」
やっしーは手に持った本を俺に見せてくる。これは確か最近人気のライトノベルだ。
「確かその本だと主人公は異世界召喚されてハーレムをつくるんだっけ」
「そうなんだよ。これみたいになってハーレム作りたいよ」
「無理無理。
異世界召喚だなんてあり得ないって…(゜m゜;)」
そう湊が否定した時教室が幾何学模様の魔方陣に包まれ教室から湊を含む生徒30人と教師が一人塵ひとつ残すことなく消えた。
「ここはどこだ?」
起き上がり周囲を見てみると、どうやら自分達は巨大な広間にいるらしいということが分かった。美しい光沢を放つ滑らかな白い石作りであるようで、これまた不思議な幾何学模様の彫刻が掘られた巨大な柱に支えられ、天井はドーム状になっている。外国の大聖堂のような荘厳な雰囲気の広間だ。
湊はチラリと背後を振り返った。そこには、美里を含むクラスメイトの姿があった。
他にもこの状況を説明できるであろう自分達の周囲を取り囲む者達もいた
そう、この広間にいるのは湊達だけではない。少なくとも二十人近い人々が、湊達のいる台座例の幾何学模様の魔方陣の前にいたのだ。まるで祈りを捧げるように跪き、両手を胸の前で組んだ格好で。
彼らはいかにも聖職者といった格好でそのうちの一人のの際立って豪華できらびやかな50代位の白髪の老人が一歩前に出て優しげな声で話し出した。
「ようこそ、ライセルスへ。異界より召喚されし勇者様、そしてご同胞の皆様。歓迎致します。私は、聖光教会にて教皇の地位に就いておりますレンゲル・バイオラス申します。以後、宜しくお願い致します」
そう言って、レンゲルと名乗った老人は、これまた優しげな微笑みを見せた。
◆◆◆
時は進み、湊達は王がいる玉座の間にきていた。
「さて、あなた方はさぞ混乱していることでしょう。一から説明させて頂きますので、まずは私の話を最後までお聞き下され」
そう言って始めたレンゲルの話は実にファンタジーでどうしようもないくらい勝手なものだった。
要約するとこうだ。
まず、この世界はライセルスと呼ばれている。そして、ライセルス対と成るように二つの世界、通称表世界と裏世界がある。また、ライセルスには大きく分けて三つの種族があり、人間族、魔人族、亜人族である。普人族は表世界、魔人族は裏世界を支配しており、亜人族は二つの世界の中でひっそりと生きているそうだ。
そして、肝心の俺たちが呼ばれた理由。それは、俺たちを戦争に利用するためだった。
俺と彼女が揃えば最強だ!グレーターミニオンズ おかず @onlyone
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