第2話
チリチリチリ チリチリチリ
カチャ
騒がしく鳴るアラームを止め布団からおき上がる。
「湊。ご飯用意しておいたから食べて早く学校に行きなさい」
玄関に向かうとスーツ姿の母が朝食を用意して玄関で靴を履いてる。靴が履き終わったのか母が立ち上がる。
「いってきます。」
「いってらっしゃい」
母の言葉に少し優しい光を感じながらも気のせいだと頭の中で却下し、僕は目を擦りながら玄関の鍵をしめリビングに向かった。
リビングにある朝食の置かれたテーブルの前に座るとついついあの転校生、荒川さんのことを考えてしまう。
可愛かったな。あの優しげな笑顔それにあの整った綺麗なロングの黒髪。できれば彼女になってほしい。まあ無理だろうが。それでも早く学校に行って1秒でも長くあの子のそばにいたい。
少々ストーカーっぽいことを考えながら朝食を食べ台所の流しに持っていくと学校指定の制服に着替え家を出た。
学校に着くと荒川さんの姿はなく代わりにやっしーがいた。
学校カバンをおろし荷物をしまうとやっしーが話し掛けてきた。
「な、いったろ。美少女だって。」
「ああ。ホントにな」
思わず一目惚れしてしまうぐらいには、という言葉を必死に隠し言葉を返す。
「しかし、お前昨日おかしかったぞ。なんか気が入ってないっていうか。もしかして、お前転校生に惚れたのか?」
「別にそんなことねえよ」
「顔、赤くなってるぞ。てか、マジかよ」
「うるせえな」
なんでこういう時だけこいつは鋭いのだろうか。
「なあどこに惚れたんだ。見た目か?性格か?」
やっしーの質問にどう返答しようか悩んでいると透き通った綺麗な声が聞こえてきた。
「おはよう」
思わずその声に振り返ると、そこにいたのは彼女だった。
クラスの女子達が彼女に「おはよう」と返しているのにその彼女は教室を見渡したかと思うとクラスの女子ではなく真っ直ぐ僕の方に歩いてきた。
「あなた、名前は谷中湊であってるよね。」
「は、はい」
内心照れてしまってどもりながらの返事になる。
しかし、なんで僕に?
「あの何かご用で?」
「そうよ。ご用なの。ついてきて、時間には余裕があるでしょ」
そう言いきると彼女はクラスのドアから外に出ていった。
「中谷お前告白かもよ。良かったな。」
茶化しながらやっしーが言ってくる。
「なわけねーだろ」
告白するならあんなにきつく言わないだろ。それにまず告白される訳がない。こんな平々凡々の僕が、そう思いながら本当になんだろうと頭をひねる。
「とりあえず、いってきたら」
「それもそうだな」
ここは、やっしーの言葉に従い彼女の後についていくことにした
。
教室を出て彼女を探すとそこに姿はなく。周りの人達に話を聞いてようやくたどり着けた。
そこは、二つの校舎から死角になるプレハブの裏だった。何だってこんなとこに。
「ようやくきたのね。遅かったじゃない」
「速すぎるよ。ところで僕に何のようなの」
「まあまあそんな焦らないの。自己紹介からしようよ。私の名前は荒川美里。あなたは?」
「谷中湊です」
「で、話っていうのはね。あなた能力者でしょう。」
「俺が?あの物語に出てくるような?荒川さん電波みたいなのはやめといた方がいいと思うよ」
「っつ。電波じゃなんかないわよ。心当たり無いの?私の読みでは精神探知系の能力だと思うんだけれど。人の言葉の奥に光が見えたりしたことはない?」
「それなら朝、母さんに白い光がぼんやり見えたような」
「それよ。」
「今知ったけどさ、本当にこんなのが能力なの?ぼんやりしたものなのに?」
「最初はぼんやり程度で当たり前よこれから成長していくんだから。で、どう私と手を組まない?」
果たしてこれが能力と言っていいのかどうか。だが、荒川さんを信じてみてもいいだろう。なんとなく、今朝の母と同じように白い光が見える気がするのだ。決して荒川さんと一緒に居れそうだからとかそんな理由ではない。
「分かりました。所属することにします」
「本当!嬉しい。実は個人的にもあなたのこと気になってたのよね。ホントに良かった。」
彼女の告白ともとれる言葉につい顔が赤くなってしまう。
「それって告白と受け取っていいんですか?」
「もしかしてあなた、私のこと…」
「はい。昨日初めてみたときに一目惚れしました。もし良ければ付き合ってください。」
「こ、こちらこそ」
ここにふたりのカップルが誕生した。それは後に異世界で伝説となる最強コンビ『グレーターミニオンズ』の誕生でもあった。
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