一話「こんな世界に幽霊なんていない」

汽車を降り 駅を通って外に出る

俺の住んでいた町より田舎じゃない

あそこは田舎すぎるからな・・・

さて・・・父さんの手紙・・・

しかし父さんの書いた地図 簡略化しすぎて

どこに迎えばいいのかわからないんだよなぁ・・・

せめて母さんと会っているならば母さんに書いて欲しかったよ

まぁ 会ってないんだろうけどさ


仕方ない この地図は諦めて 町の人に聞こう

あぁ・・・でも有名じゃなかったらどうしよう?

それだったら探すのが大変なんだよな・・・

すると 大学生くらいの男の人が駅に向かっていた

ここの人だろうか? 聞いてみよう


「あのー・・・」


「なんだい?」


と男の人は応えてくれた


「ここの町の人ですか?」


「ごめんね 俺隣町に住んでるんだ」


残念 隣町か・・・


「そうですか・・・」


「どうしたんだい? ある程度ならこの町のこと解るけど・・・」


・・・なら試しに聞いてみるか

えっと確か店の名前は・・・


「『そうだん屋』って名前の店を探しているんです」


すると男の人は少し目付きが変わった


「そうだん屋・・・か・・・懐かしいな・・・」


知っているのかな? 手応えはあるんだが


「あぁ ごめんごめん そうだん屋なら この通りをまっすぐ進んで3つ目の十字路で右に曲がってまっすぐ進んで 突き当たりを左にすすめばいいよ」


親切な人だ 


「ねぇ 君 名前は?」


「霜火・・・有沢 霜火(ありさわ そうび)と言います」


「・・・そうか 俺は神子斗(みこと) この時間はここにいるから また何かあれば聞きに来るといいよ」


「解りました ありがとうございます」


俺は神子斗さんと別れ 聞いた通りに進んでいた

しかし隣町の人も知ってるってことは 有名なんだろうか?

そうだん屋については全く聞いてないからな

思えば祖父にあたる冬島 秋さんとも会っていない

いや・・・会ってるだろうけど覚えてないのか・・・

どんな人なんだろうか?

母さんは確か養子だって言ってたから

母さんの面影からは想像出来ないからな・・・


えっと3つ目で右に曲がる・・・と

それで突き当たりまでまっすぐだよな

結構駅から離れてるんだな・・・

そうして歩いていると 強い風が俺に吹き付ける



なんだろう それを受けてから少し体が重い・・・

でももう目の前は突き当たり

そうだん屋についたら休ませてもらおう

きっと疲れたんだ

突き当たりを左に曲がると

あとは家を確認しながら進むか

っと 結構簡単についたな


・・・・ここが・・・・そうだん屋・・・

母さんが・・・・育った家・・・か・・・

さて仕事用らしきドアから入っていいもだろうか?

でも普通の玄関はどこだろう?

少し探索したら 見つかった

インターフォンを押す


「はーいっ!」


と女の人の声がした


「一体誰ー? 雪奈ー? 馬鹿空ー?」


ドアが勢い良くあき 声の主が出てきた

というか父さんを馬鹿と・・・


「あら・・・もしかして霜火君!?」


どうやら俺のことを知ってるようだ


「話は馬k・・・君のお父さんから聞いてるわよー!」


また言ってるし まぁ父さん馬鹿なの否定しなけど・・・


「いやいや春実 霜火君 戸惑ってるから」


ドアの向こうから男の人も来る


「あ・・・そうだね! 霜火君おいでー!」


と俺は家の中に入っていった

中は結構ボロい・・・でも二人暮らしには結構広いんじゃないか?


「私は冬島 春実 あなたのお母さんのお母さん!つまりおばあちゃんね!」


「僕は冬島 秋 よろしくね」


母さんの両親か・・・

思ってより優しそうだ

母さん結構スパルタだったからな・・・


「有沢 霜火です 今日からよろしくお願いします」


おじぎをする


「?」


すると二人は何故か不思議な顔をした


「どうしたんですか?」


と言うと春実さんが


「ここらへんにいる人見えない?」


は?


なんのことを言っているんだ?

この世の中に幽霊なんていないだろうに


「人って春実さんと秋さんだけでしょう?」


すると秋さんは俺をジロジロと見る


「なるほどね・・・・霜火君 ちょっとおいで」


と俺はその通りに秋さんの案内されたところに行く


「ハイ これ」


とブレスレットを渡された


「なんですかコレ」


「え いやブレスレットだよ」


「それはわかりますけど!」


なんで俺に渡すんだ?


「んー・・・まぁお祝いかな・・・」


と秋さんは行った

お祝いねぇ・・・・

まぁ貰ったし 大切にするけど


「ここにいる時はいいけど 外に出る時は必ずつけてね」


「・・・・なんでですか?」


なんで外限定なんだ?


「うーん・・・言いづらいけどなぁ・・・君の為と言うか・・・ね」


秋さんははぐらかした

なんで外ではつけなきゃいけないんだろう?

まぁ・・・いいか


「分かりました 外ではつけておきます」


言うとおりにしたほうが良さそうだしな

すると秋さんは笑い


「ありがとう」


と春実さんの所に戻る

俺も戻るか・・・


・・・・・?


そういえば・・・体の重みが消えてるな

いつからだ?

・・・・・この家に入ってからか?

緊張でもしてたんだろうか?


「霜火君 部屋案内するわー!」



「はい」


と春実さんについてく


「ここの部屋使ってね」


と2階のつきあたりの部屋に案内された

部屋数結構多いな・・・・


「ちなみに雪奈の部屋はこの隣なのよー」


と俺の部屋の隣を指す

母さんの部屋が隣・・・・か


「向かいは私の部屋ね 雪奈の部屋の向かいが秋 何かあったら私か秋に言ってね」


いやその二人しかいないだろう

なんだ? 他に子供でもいるんだろうか?

ドアを開け 部屋に入る

定期的に掃除はしてたようだ

これから・・・・ここが俺の部屋か・・・・

リュックを下ろし 床に寝転がる

家でもベットじゃ無かったから この感じは家と同じだ

父さん・・・母さん・・・・ 一体・・・・どこにいるんだよ・・・

そうだ 今は夏休みでも 明けたらこっちの小学校に通わなきゃ行けない

明日にでも学校確認してこなきゃな

確か母さんも通ってた学校だって言ってたから 春実さんと秋さんが知ってるはず・・・

聞きに行くか


と俺は廊下に出て 階段を降りると

家の中なのに 風が起こった

なんだ? 小さい頃から度々あったけど・・・

その話をすると 父さんも母さんもはぐらかすんだよなぁ・・・

春実さんや秋さんは知ってるだろうか?

聞いてみようかな・・・・

でもその前に学校だ 一番重要だ


「春実さん」


と階段を降りると 春実さんが目の前にいた


「あら霜火君 どうしたの?」


「夏休み明けたら 通う学校知ってますか?」


「えぇ 知ってるわよ」


と即答した

さすがというか当たり前か


「今日は遅いし 明日案内するわ 良い?」


「はい」


案内してくれるなら嬉しい話

迷子になったら困るからなぁ

そういえば家の周辺しか遊んだことなかったけど

俺って方向音痴なんだろうか?

でも神子斗って人の話で迷わなかったから 違うのかな・・・

分からないか・・・・


「あら? そのブレスレット・・・・」


「え・・・あ コレですか」


と俺は秋さんから貰ったブレスレットを見せる


「秋から貰ったの?」


「えぇ そうですよ」


と春実さんはブレスレットをジロジロと見る


「何か・・・・?」


「ううん 何でもないわ そうだ 夕飯の買い物に行くのよ 付き合ってくれる?」


「はい」


と俺は春実さんに付いていく

この町って結構広いよな・・・

普通に迷いそうだ


「おぅ 夏宮・・・おっと今は夏宮じゃないんだっけか」


「おー! 藤堂さんお久ー!」


刑事らしき人とタメ語で話すか? 普通 刑事じゃねーのかなぁ・・・


「そいつ誰だ?」


「雪奈と夏空の息子よ!」


「あー あの娘かー ボウズ はじめましてだな 俺は藤堂だ」


「こんなナリでも刑事なのよ」


刑事なのかよ そのまえになんでタメ語なんだよ


「有沢 霜火・・・です」


「おー お前が有沢の息子かー 噂は聞いていたが ほー 夏宮の娘に似てるなー」


そういえば父さんにもいわれたな母さん似だって

母さんの顔うろ覚えなんだよなー・・・


「そうだ 店に冬島 秋いるかー?」


「いるわよー!」


仕事の話みたいだな そう言えば・・・どうゆう仕事か全く知らないなー・・・

そうだん屋って名前だけど何をそうだんするんだ?

後で・・・聞いてみるか


『恨めしい・・・恨めしい・・・』


!? なんだっ!?


「どうしたの? 霜火君振り返って・・・」


「・・・いえ・・・・」


なんださっき声は・・・・

まるで人じゃなかった・・・

振り返って見たけど藤堂と言う人しかいなかった

な・・・なんだ?

この・・・・胸騒ぎは・・・

まるでこんな世界に・・・幽霊がいるみたいに・・・

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憑くモノ祓うモノ 港龍香 @minatoRK

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