憑くモノ祓うモノ

港龍香

プロローグ「ある人物を訪ねて」

俺が小学4年生の頃 母さんと父さんが行方不明になった

しばらくは自分の持っている最大限の生活の知恵で生きてきたけど

次第に苦しくなってきた

そんな時 父さんから手紙が来んだ

父さんらしい 母さんへの愛が長く語られている手紙

ただ最後の一文にこう書かれていた


「冬島 秋を訪ねてみな」


その人がいる住所も書かれていた

俺はその人にいる町までやって来た

前々から聞いていた町

父さんと母さんが暮らした町


電車のアナウンスがその町名を言った

あぁ そろそろだ


小学4年生が背負うには大きすぎるリュック

手には父さんから送られた手紙


俺 有沢 霜火(ありさわ そうび)は


父さんと母さんが暮らした町の第一歩を踏み出したのだ

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