第2話 必然のシナリオ
―
彼女は人と関わることを嫌い、いつもクラスの窓際の席で本を読んでいる。読み終えたかと思いきや窓の外を見て何やら呟いている。
そのせいかクラスの男子には不気味がられている。
そんな性格だが成績は優秀で先生にえらく気に入られたため、半ば強制にクラス副委員長に推薦させられた。
本人は嫌だったのだろう最後までしかめっ面だった。
ちなみに僕は委員長だ。成り行きは成績上位だから、ただそれだけで推薦された。
つくづく成績優秀者とはめんどくさいものだ。
委員長であるならば副委員長の小鳥遊さんのことをよく知ってる、というわけではない。
表向きの仕事は僕。書記的な仕事は小鳥遊さん。そんな割り切りがいつしかできていて、話したのは最初の方だけ。
そんな彼女がなぜこんな本を幾度となく借りていたのか。いつも学校で読んでいた本とは別のようだし謎である。
まあ別に関係ないし、いいか。
この一言ですべてを割り切った。
借りてから数日たったが何も起きない。
第一あの本には小説とよべる内容は無く一ページ目に【探せ】と書いてあるだけだった。やはりあの女が言ったことは適当なデマだったのだろうか。
そう思っていた矢先に案の定、小鳥遊が話しかけてきた。
「ねぇ、その本どうやって見つけたの?君は借りれたの?」顔や表情からすごく驚いてるのがわかる。
「図書館だけど、どうかした?」笑みを浮かべながらいつもの通り良い生徒を演じた。
気味が悪いような目で見られた。いつも通りなのに何故だ。
「君はいろんな事を隠しすぎだ。君は何の能力を隠してるんだい」
「―なぜわかった?」
自分の顔がこわばり、気づけば小鳥遊を睨んでいた。
「ふふふ、仮面が割れちゃったね」そんな彼女の笑顔は桜の花びらが舞うかの如く透き通っていて美しかった。というか普通に可愛い。なぜ今まで気づかなかったのだろう。
思わず自分の顔も緩んだ。
いつもの何を考えてるかわからない彼女の顔からは考えられない様だった。
「脅かしてごめんね。君も
小鳥遊はアースと言った。アースがなにかわからないが何を指しているのはわかる。
そんなことより小鳥遊がすごい話すことの方が驚きと興味がある。
ともかく話に合わせよう。
「えー、小鳥遊さんはなんで僕がアース持ちって気づいたの」
「簡単よ、その本を持ってるからよ」声が弾んでいる。なぜだか嬉しそうだ。
「えっと。意味わかんないんだけど」
「その本はアース持ちにしか借りれないってことよ。あなたにはその本に何が書いてあった?書いてあったことがあなたへのアースの希望」
後半何言ってるのか理解できなかったが大体わかった。と思いたい。
まとめると、小鳥遊はアース持ち。僕がアースを持っている事がばれた。この本は命令(?)のようなもの。だ。たぶん。
いまさらながら実におかしい話だ。とんとん拍子に進みすぎだ。もうちょっとゆっくりかけてもいと思う。
たった一時間の会話だけでこうも常識から逸脱したものになるとはな。
今のご時世そんな魔法みたいなものがばれたら何されるかわかったもんじゃない。
はたまたこれも屋上の彼女のシナリオか。そう考えると鳥肌が立つ。やめよう。
「放課後うちに来て。君のアースについて聞きたいことがある」
そう言ってメモに書いた地図を渡された。そして席に戻っていった。
こっちはOKしてない一方的なものだった。聞かれていても別に行かないとは言わなかったと思うが一言ぐらい聞いてほしいものだ。
そう思っていたが、彼女の後姿の耳は真っ赤に染まっていた。
その後会話はなく
―放課後になった―
タイムリミットリリース 遥音の杜 @harune_no_mori
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