天使の笑み

イチカワ スイ

天使の笑み

ひたすらに。

ただひたすらに生きてきました。

自分なんてちっぽけで、なんて惨めな人間であるのだろうと思いました。

他の子が眩しすぎて、私は、その光で溶けて死んでしまうのではないかと思うこともありました。


みんなが笑います。


愛くるしい笑顔で!


私はそれを見ているだけで好かったのです。私にはみんなの笑顔が天使のように見えました。あれほどに可愛く、美しいものはないと感じたのです。


私はその顔を見て、そっと幸せに浸りました。


私もあんな風に笑えたらどんなに良いだろうか。

どんなに楽しいだろうか。



でも私にはそんな天使の笑みは与えられていませんでした。

きっとそう。


私が笑うとみんなが汚い顔で笑います。


くすくすくすくすくすくす。

とても醜く。

だから私はきっと汚い笑顔をしているのでしょう!

だからみんなも汚く笑うのでしょう。



私は、できるだけ笑わないようにします。だってみんなの笑顔まで醜くなってはいけませんから。


すると、みんなが急に眩しく光って私を消そうとします。焼き消すのです。



私は今もまだ消えてはいません。ただ、みんなただ、みんなはどんどん眩しくなり、私はもう顔も上げられなくなってきました。

天使の笑みはもう見ることが出来ません。

ただそれは、私を焼き消そうと光ります。



私は下を見ながら思います。

私は何故、光れないのだろうと。

何故神様は私にみんなのような天使の笑みをくれなかったのだろうと。

私は、なんてちっぽけで惨めなのだろうかと。




私はまだ消えていません。


だからきっと大丈夫。


私はいつか、みんなよりも美しく、優しく、光りだすのです。



それまでは

ひたすらに、ただひたすらに生きてゆくのです。

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天使の笑み イチカワ スイ @ku-si

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