第7話 死闘! その果てにたつ者

 鉱山内、奥部の加工場跡。

 広い空洞の中にクニツナ、ツネツグ、ミツヨが倒れている。

 ヤスツナ、シノギと対峙している。

 シノギは先の戦いで返り血を浴びており、右手には小刀が握られている。 


ヤスツナ「何故だ……何故だシノギさん」


シノギ「……迅雷じんらいのゲキ」


ヤスツナ「っ?」


シノギ「貴方が手を下した忍の名前です……お忘れでしょうか」


ヤスツナ「……」


シノギ「思い出して頂けましたか? ヤスツナ様。貴方が忍びの里をその手で滅ぼしたあの日を……」


ヤスツナ「あの時……一瞬だけだが、いや、しかし」


シノギ「私は一部始終を見ていました……ヤスツナ様は、自分の刀が折れた後、すぐ様闘身を抜いた……その『童子切どうじぎり』で! 兄上を!」


ヤスツナ「……」


シノギ「どんなにか、無念だった事でしょうか……兄上……闘身さえ無くば……」


ヤスツナ「……俺は」


シノギ「その日から、私はヤスツナ様――あなたに復讐する事だけを胸に、生きて参りました。顔を変え、身なりも名前も変え、自分が男か女かも瑣末になるまで、ヤスツナ様、あなたに決して気取られる事のない様に今日まで生きて参りました」


ヤスツナ「……シノギさん」


シノギ「ヤスツナ様を見つけるのは至極簡単でございました。闘身を知る者はそうはおりません……ですが、まさか道場を開いているとは、そう知った時には思わず反吐が出そうでした。兄上の命を奪った闘身を、人に広めるなど――」


ヤスツナ「それは……!」


シノギ「御託は結構。さぁ、ヤスツナ様……私の為、愛する兄上の為、どうぞ私めの前に屍を晒してくださいませ」


ヤスツナ「くっ……!」


シノギ「あなたはここで……死なねばならないのです!」


 シノギ、すさまじい速さでヤスツナに肉迫する。


ヤスツナ「速い!?」


シノギ「はぁっ!」


 シノギ、身体を回転させ、その勢いで重い肘打ちを見舞う。

 ヤスツナ、辛うじて守りを固めるが、後ずさる。


ヤスツナ「ぐあっ!? なんという身のこなしだ……! これがシノギさんなのか!? 本当にあの、シノギさんなのか……」


シノギ「九字護身法くじごしんぼう、ヤスツナ様ならご存知でしょう。私は今まで自分の力を封じ込めておりました……煩悩や、邪気というものでね」


ヤスツナ「邪気? そんなものは今まで一度たりと」


シノギ「あっはっはっはっは! ……ヤスツナ様、勘違いされていらっしゃる様なので付け加えておきますが、私の言う“邪気”とは、あなた方の使う邪気とはまったくの真逆です」


ヤスツナ「真逆?」


シノギ「言葉の通りです。私にとっては優しさだとか、愛だの情だの、それこそが邪気。私にとって正気とは、貴方への復讐ただその一念のみです。そしてその正気を、九字を切る事によって呼び起こしたまでです――」


ヤスツナ「……ならばなぜ会ってすぐに殺さなかった。そこまでしてどうして、今まで振る舞っていたか」


シノギ「同じ罰を、与える為です」


ヤスツナ「罰……?」


 突然踵を返し、クニツナの方へ歩み寄るシノギ。

 側に寄りて腰を下ろすと、クニツナの頭を撫で始める。


シノギ「……クニツナ」


クニツナ「ぐ……あ……?」


シノギ「かわいい子……あなたはヤスツナ様の二番弟子でしたね……ムネチカ様が、拾われて、ヤスツナ様が弟子と認めた――」


 撫でていた手とは逆の手に握られていた小刀を逆手に持ちかえる。


ヤスツナ「やめろ!!」


シノギ「かわいい愛弟子!!」


 シノギの小刀が、クニツナの左手を刺し貫く。

 それは地面にまで深く届いて、身動きが取れなくなるクニツナ。


クニツナ「ぐあああああああああ!!??」


ヤスツナ「クニツナァ!!」


シノギ「そしてツネツグ! あなたは一人で道場にやってきた、ヤスツナ様の三番弟子! かわいいかわいい三番弟子!!」


 勢いそのままにシノギ、懐から峨嵋刺がびしの様なものを取り出すと、気絶しているツネツグの右手を地面に刺し留める。

 ツネツグ、激痛で目を覚ます。


ツネツグ「ぐっ!? うあ、ああああああああ!!」


ヤスツナ「やめろぉ! こんな事をして何になるっっ!?」


シノギ「では何故兄上を! 兄上の命をぉ!?」


 シノギ、言葉を吐き捨てるとミツヨに駆け寄り、ミツヨの手にも深々と苦無を突き刺す。


ミツヨ「うああ! ぐあああああああっ!!」


ヤスツナ「シノギさんっっ!!」


シノギ「こんなものじゃ、こんなものじゃなかった!!」


 ヤスツナ、シノギに駆け寄る。

 シノギ、振り向きざまにヤスツナを思い切り殴りつける。

 鼻血が噴き出て、痛みに悶絶する。


ヤスツナ「ぶはああっ!!」


シノギ「苦しみは、痛みは、こんなものじゃなかった……これが、私の復讐――これが私の存在意義、その為なら私は無間衆でもなんでも利用してやる!」


 シノギ、服を脱ぎ棄てると、そこからは隠密の装いが現れる。


シノギ「ヤスツナ様……覚悟!」


ヤスツナ「シノギさん……やめてくれ……俺には、あなたを……」


シノギ「はぁあああっ!」


 未だふらついているヤスツナに、もう一度拳を浴びせるシノギ。


ヤスツナ「ぐわっ!」


 間髪入れず、掌底や肘打ち、膝蹴りを打ち込む。


シノギ「はぁ!」


ヤスツナ「ぐああっ!?」


シノギ「ああっ!!」


ヤスツナ「ぐっ!」


シノギ「はあぁ!」


ヤスツナ「ぐっほぉぉ……!!」


シノギ「他愛もない……これが兄上の命を奪った奴かと思うと――けど」


 ヤスツナの脚に、先刻サカバを殺めた棒手裏剣を振り落す。 


ヤスツナ「ぐっ!? ああああああああああっ!!」


シノギ「抵抗しなければそれだけ手を下す手間が省けるだけ」


 シノギ、その棒手裏剣を引き抜く。

 ヤスツナの脚に更に激痛が走る。


ヤスツナ「ぐはっ!?」


 再度、棒手裏剣を構えるシノギ。


シノギ「兄上……今、仇を――」


クニツナ「ま、待てよ……!!」


シノギ「っ!? ……」


 振り向くと、クニツナ、ツネツグ、ミツヨの三人が立ち上がっている。

 それぞれの手には布が巻かれているが、鮮血に滲んでいる。


ミツヨ「待って、待ってください……シノギさん、どうして……」


ツネツグ「シノギ、さん……」


クニツナ「どうしちゃったんだよ……! どうしちゃったんだよシノギ……!!」


 シノギ、冷たい視線を三人に向ける。


シノギ「……あなたたちに嘘をついていた、ただそれだけの事です」


ツネツグ「そんな……」


クニツナ「嘘だ、嘘だそんな……そんな事が」


ミツヨ「あって、あってたまりますか!」


シノギ「黙れ! お前たちに何が解る!? たった一人、たった一人の家族を殺された私が、どんな思いでここまで来たか……!」


クニツナ「解るよ! ……俺だって、俺だって、父ちゃんと母ちゃん、大丹おおにの乱で死んじゃって……それで、それでどうしようもなくなった時に、ムネチカに会ったんだ!! 憶えてるだろシノギ!?」


シノギ「……」


ツネツグ「シノギさん……ぼくたち、シノギさんに感謝してもし尽くせませんよ……シノギさん、それだけぼくたちの面倒を見てくれたじゃないですか」


シノギ「……」


ミツヨ「某は……某が、一番シノギさんの気持ち、わからないかもしれないけど……でも! こんなのおかしいです! 嘘とか本当とか、そんなのどうでもいいです! 某たちが見てきたのは! 今までのシノギさんです! あのシノギさんの顔です!」


クニツナ「シノギ……目を覚ましてくれよ……! こんなの間違ってるよぉ!」


シノギ「ふっふっふっふっふ……ははは……」


 シノギ、暫く笑い続ける。


クニツナ「シノギ……?」


シノギ「下らない」


クニツナ「!?」


ツネツグ「そんな……」


ミツヨ「シノギさん……」


シノギ「何度も同じ事を言わせないでください……それこそが私の邪気。私は今まで、自分の正気に背いて生きていたのですよ? 何をどう言おうと、あなた方が見てきたものは全て、嘘偽りです。これ以上邪魔立てする様なら、あなた方から先に手を下すまでです」


クニツナ「来るぞ……!」


 クニツナたち、各々闘身を抜こうとする、が。


シノギ「私を殴れますか? あなた方は」


ツネツグ「っ……!」


ミツヨ「それは……」


 シノギ、クニツナの目の前にまで詰め寄る。

 動けないクニツナ。シノギの顔には笑みが浮かんでおり、往時のままである。


クニツナ「ぐっ……!!」


シノギ「でも」


 パンッ――と、軽快な破裂音が響く。

 シノギがクニツナを叩いたのである。


クニツナ「ぼふっ!?」


ツネツグ「クニツナ!?」


シノギ「私はできる」


ミツヨ「!? ぐっ!? げほぉ……!」


 シノギ、ミツヨの腹に拳を打ち込む。

 えづくミツヨ。


ツネツグ「ならどうして――泣いているんです」


シノギ「!?」


ツネツグ「その涙はなんですか?」


シノギ「……!」


ツネツグ「それが“正気”なんじゃあないですか……シノギさん!!??」


シノギ「ツネツグ……! 黙れ! 黙れ黙れ! その減らず口、利けなくしてやる!!」


 シノギ、棒手裏剣をツネツグに向ける。

 ツネツグ、真っ直ぐにシノギを見て止まない。


ヤスツナ「ならば」


シノギ「!?」


 シノギが振り返ると、ヤスツナもまた立ち上がっていた。

 血まみれになりながら、脚を穿たれながらも立っていた。


ヤスツナ「ならば、俺は貴様を斬るだけだ」


シノギ「あ、脚を確かに……! 今までと違う……これは、殺気……?」


ヤスツナ「シノギさん……俺はシノギさんを斬りたくはない……だが弟子たちを、クニツナ、ツネツグ、ミツヨをこれ以上傷つけるというのなら、俺は貴様を斬る……!!」


 ヤスツナ、童子切を構える。


シノギ「……ヒルコが一瞬怖気づくはずです、その眼……まさしくあの時の眼!」


ヤスツナ「弟たちに手を出すな……!」


シノギ「よくもぬけぬけと……!」


ヤスツナ「行くぞ……シノギさん」


 静寂が、辺りを包み込む。

 クニツナたちは黙って、ヤスツナとシノギを見ている事しかできなかった。


シノギ「……」


ヤスツナ「……」


クニツナ「……」


ミツヨ「……」


ツネツグ(……止められないのか……)


ヤスツナ「……!」


シノギ「はぁああああっ!!」


 先にシノギが動き出す。

 ヤスツナ、シノギに向かって走り込む。


ヤスツナ「おおおおっ!!」


シノギ「やっ!!」


ヤスツナ「はぁ!!」


 カキィン! と、洞窟に剣の打ち合う音が響き渡る。

 シノギ、間を置かずヤスツナを攻め立てる。


シノギ「しゅっ! ふっ! はあっ!」


ヤスツナ「ぬっ、ぐ、くうっ!? せぇいっ!」


シノギ「はっ!」


 シノギ、宙返りをしてヤスツナの袈裟斬りを避ける。

 間髪入れず、棒手裏剣を投げつける。


シノギ「はあっ!」


ヤスツナ「くっ! はっ!」


 棒手裏剣を童子切で弾くヤスツナ。


シノギ「もらった!」


 シノギ、素早く印を切ると、手から雷の様な光が迸る。


ヤスツナ「あの構えは!?」


シノギ「迅雷じんらい……撃穿げきせん!」


 シノギ、貫手の型でヤスツナの胸めがけ、飛び込みながら突きを繰り出す。

 ヤスツナ受け切れず、シノギの貫手が刺さる。

 すると雷を浴びた様に、ヤスツナの身体から電光が走る。


ヤスツナ「ぐあっ!!?? おお、ああああっ……!!」


ミツヨ「師匠!?」


シノギ「まだです……貴方を殺すのは……兄上の技」


クニツナ「兄貴ぃ! 避けろぉ!!」


シノギ「……迅雷……っ!」


ヤスツナ「ここまでか……」


ツネツグ「兄上!!??」


シノギ「!? 撃掌げきしょう!!」


 一瞬遅れたが、シノギの迅雷撃掌が、ヤスツナの顎にぶち当たる。


ヤスツナ「ぐああああああっ!! ……」


 天高く舞い上がり、地面に強かに打ち付けられるヤスツナ。 


ヤスツナ「がっ! がはっ……」


 辺りは再び、静まり返った。

 クニツナたちには、足元に倒れ伏したヤスツナと、その向こうで黙って立っているシノギが映るばかりであった。


シノギ「……」


クニツナ「……兄貴?」


ツネツグ「まさか……兄上」


ミツヨ「師匠!?」


ヤスツナ「……」


シノギ「……終わりました……兄上……」


クニツナ「嘘だ、嘘だ、嘘だぁ!!」


ミツヨ「師匠! 師匠! 起きてください師匠ぉ!!」


ツネツグ「そんな……そんな……」


 立ち尽くし、打ち震えながら涙を流すクニツナ。

 ヤスツナの下に駆け寄り、呼びかけ止まぬミツヨ。

 膝をつき、絶望するツネツグ。

 シノギ、彼らに歩み寄ってくる。


シノギ「次は……あなた達の番……」


クニツナ「……か、かかって来いよ! 兄貴の仇! 俺が取ってやらぁ!」


ミツヨ「もう、もう我慢なりません!」


ツネツグ「シノギさん……」


シノギ「……」


 その時、シノギの目から、またも涙がこぼれ始めた。


シノギ「……同じだ」


ツネツグ「っ?」


クニツナ「っ?」


ミツヨ「……?」


シノギ「あの時と、同じだ……私が、今度は……」


クニツナ「シノギ……」


ツネツグ「シノギさん……」


 すぐに表情を険しくし、苦悩するシノギ。


シノギ「違う、違う、違う違う違う! 違う! これで良い! これで良かった! これが正しかった! これが私の正気! 違う、違う、違う……」


ミツヨ「やっぱり、シノギさん……」


シノギ「いや、いや、違う……私は、あなた達を斬る。そうして、そうして全部、全部終わる……そうして……」


 ついに膝を折り、その場に崩れ落ちるシノギ。


クニツナ「……シノギ」


ツネツグ「シノギさん……もう止めましょう……もう、もう止めましょう……」


シノギ「っ……う、う……私は……私は……」


ミツヨ「シノギさん」


シノギ「……ごめんなさい……ごめんなさい……私は、私は……」


クニツナ「……」


シノギ「クニツナ……ツネツグ……ミツヨ……」


ミツヨ「はい……」


シノギ「私は、あなた達を……き、斬れない……斬れない……っ、うううっ」


クニツナ「シノギ……」


 クニツナ、シノギに歩み寄るとシノギを優しく抱きしめる。

 シノギはクニツナを抱き返す。


シノギ「うっ……ううっ……う……」


フツ「なら、君はもう用済みだ」


シノギ「!!??」


 シノギ、強烈な恐怖と凄絶な悪寒を感じる。

 クニツナを抱きしめていた手に力が入り、爪がクニツナに食い込む。


クニツナ「!?」


ミツヨ「!? 誰の……どこから?」


ツネツグ「シノギさ――」


フツ「さようなら」


 何かが空を切る音がした。

 シノギの背中から、花火の様に鮮血が弾け飛ぶ。

 誰も、何が起こったかなど理解ができなかった。


シノギ「ぐはっ!?」


ツネツグ「……!! シノギさんっ!!」


 シノギ、そのまま力なくクニツナにもたれかかる。


クニツナ「シノギ! おいしっかりしろよ! シノギ!」


シノギ「クニ、ツナ……ツネツグ……ミツ……」


ツネツグ「もう喋らないでシノギさん!」


ミツヨ「医者、お医者を……早く!」


シノギ「これ、を……持っ……て……」


 シノギ、最期の力を振り絞り、胸の内にしまっていた、勾玉を渡す。


ツネツグ「シノギさん……? シノギさん!」


シノギ「…………」


 シノギ、何かを言おうとしたが叶わず、こと切れる。


クニツナ「シノギ!! シノギ!!」


ミツヨ「うっ……ううっ、ぐ……!!」


ツネツグ「シノギさん! シノギさぁぁぁん!!」


クニツナ「シノギィイイイイ!!」


 別所。無間衆の隠れ家。

 鍾乳洞の中に作られている様で、ぽっかりと開けた岩の大部屋の奥に、フツが座している。

 眼下にはネタバ、ヒルコが面を下げている。


フツ「……ダンビラ、イクビ、末喜ばっき、サヤバシ、切羽せっぱ、サカバ、そしてシノギ……ボクの部下たちが次々と死んでいくよ、ネタバ」


ネタバ「はっ」


フツ「……もう猶予はないよ」


ネタバ「かしこまりました。すぐに次の手を――」


フツ「頼んだよ?」


ネタバ「……ははっ」


 ネタバ、暫くフツを見つめた後、恭しく礼をして去る。


フツ「ヒルコ」


ヒルコ「はい」


フツ「ボクの友だちが消えた……探しておくれ」


ヒルコ「仰せのままに……」


 ヒルコ、一礼して去る。


フツ「無間衆も、甘く見られたものだね……ヨキ、タツキ」


 フツの傍から、ヨキとタツキが現れる。


ヨキ「はっ」


フツ「ネタバに協力してあげて」


ヨキ「しかしフツ様……」


フツ「構わない」


ヨキ「……御意のままに。行くぞ、タツキ」


 タツキ、黙って頷いてヨキの後を追う。

 ネタバ、持ち場へ歩きながら独白。


ネタバ(……無間衆八逆鬼、か……脆いものだ。所詮はカネか、フツ様の“”に酔った者たちという事か。しかし、まだまだこれからだ、これからが私の計画の始まりなのだよ……)


ネタバ「む? ……ヨキ、タツキ、なんの用だ」


ヨキ「フツ様からのご指示だ。貴様に協力しろと」


ネタバ「……始めきらめき奈良刀」


ヨキ「……何?」


ネタバ「いや、これは失敬。そうならぬ様に、お互い努め上げようではないか……フフフフ、ハッハッハッハ!」


 先を歩くネタバ。

 タツキ、武器に手をかける。

 それをヨキが制する。


ヨキ「よせ、タツキ……ネタバ……今に見ておれよ」


 ネタバの背を睨むヨキとタツキ。

 別所、ヒルコ、鍾乳洞を歩く。


ヒルコ「……モロハ、なぜ? ……まぁいい。ボクの楽しみが増えるだけだ」


 ヒルコ、自身の姿を変化させ、ムネチカに化ける。


ヒルコ「兄さんにも、暫く会ってないけど……生きていてね、兄さん……?」


 不敵に笑むヒルコ。

 所変わって、フツの間。


フツ「……少し早いが、良かろう……乱れ、乱れよ……世に混沌が、やってくる、フフフフフフフ……ハハハハハハハ……」

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〔声劇台本〕天下五剣 柾 直斗 @kirimasa

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