第2話

講義中、相川が携帯を見ながらこんなことを言い出した。


「最近よく人が行方不明になるよね。こんな噂知っている?」


そういって話し始めた。


噂はというと、一連の事件はある団体が人をさらって実験をしているという。俺もネット掲示板なんかで騒がれていて見たことあるが、現実味のない話である。


その掲示板に投稿されている噂は全て書きかけで、書いていた者は二度と掲示板には現れずに途中までの書き込みは次々と消されていった。そしてこの噂がネットで信憑性が増したことには、あることが起こったからである。


最初に行方不明者が出たのは今からおよそ半年前で、どこにでもいる普通のサラリーマンだった。行方不明者家族は捜索願を出し、その1週間後に山中でさまよっているところを警察に見つかった。


これはニュースでも取りあげられ、見つかった人は精神錯乱状態で


「もう見たくない。俺を殺してくれ!」


と言っていた。


そして見つかった人は療養のために入院をしたのだが、二日後にベッドで亡くなっているところを発見された。ニュースで発言を取り上げられた次の日であった。


これには当然病院側も会見を行ったが出された答えは、身体的にどこも異常はなく、なぜ亡くなったか私たち医師にも分からない。とのことだった。


しばらくするとまた同じように山中で行方不明者が見つかり、その見つかった人もニュースで取り上げられ


「もうやめてくれ。次は俺の番だ」


などと意味の分からないことを言っていたが、同じく入院先で亡くなっているところを発見され、死因はまたしても不明だった。


一週間程経った頃病院が再び会見を行い二人の死因を発表した。


「亡くなった二人の死因は窒息」


それに対して警察も自殺ということで処理をした。


当然明らかに怪しいと思われたが、真相を確かめるすべはなかった。


この一連をきっかけにネットではさっきのような噂が書かれるようになり、だんだんと話題になっていった。


「まあ出来すぎてる話だよね」


「そんなの噂だよ」


講義中にも関わらず盛り上がっていると、怒声が飛んできた。


「こらそこ!うるさい!」


すぐ起こることで有名な教授に注意された俺たちは気になりながらも講義を受けた。


教授は不機嫌のままだった。

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