感情論。

@kiri_kizaki

佇む

「貴方の感情を下さい。」


と書かれた画用紙を持って佇む男の人がいた。

横を多くの人が見向きもしないで通り過ぎていく。


こういう輩には興味すらないのだけれど

目に止まった。


私は一回通り過ぎた後にその人の前に戻った。


「どんな感情でも良いの?」

コクリと頷く。

「じゃあ、私の感情あげるね」


冗談だった、感情って譲渡出来るものだと思ってなかったから


「ありがとうございます、受け取りますね」


肩に手をかけて目線を合わせると

瞳の中に吸い込まれていった。

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