文体のこだわり
文体へのこだわりに関するエッセイを見かけまして、
それに対して思う所……ではなく思い出した事があったので綴ってみました。
まあ「自分はこういう書き方でやってるんだ」というこだわりを持つ人は多いですが、こと製品化するという段階になれば修正は必須になります。
出版物でも近いものはあるかと思いますが、我々ゲーム業界では更に厳しい時代がありました。
(かなり昔の話で今は全くないです)
今でも対象年齢に合わせて漢字を開くなどありますが、
「綺麗」ではなく「奇麗」を使ってくれとか、
名前の表記ですが、「澤」ではなく「沢」を使わせてください。
「絨毯」は平仮名にしますよ。
という場合がある。
これは使用される側にどんなこだわりがあろうと関係ない。
絶対直さなくてはならないものでした。
理由は――、
『フォントが無い』
文字データ無いんだから表示のしようが無い。
漢字には第一、第ニ水準があり、昔は第一水準漢字しか対応していないなんてのも普通にあったんですね。
専用フォントデータを持たせられるなんてのは後期の話です。
そこだけ専用対応するという事も出来ましたがコストパフォーマンスが悪いのもさることながら、フォントが 12×12ドットしかないのだから複雑な漢字を出せない、なんて事も。
漢字だけでなく、"。」"は"」"に、も似たものがありますが、要するにとにかく一文を短く。
時には表現や言い回しも削られます。
理由は――、
『画面に入りきらないから』
メッセージウィンドウにも大きさの限界があるので、一度に表示できる文字数に制限があったのですね。
声優さんの音収録。
技名をできるだけ早く言ってください。
「もっと早く」
「もっと早く」
「もっと早く」
原作によっては長い技名ありますけれど、とにかく急かされます。
声優さんも物凄い早口で技名を連呼。
大丈夫か? というくらい不自然なものになる事もあります。
理由は――、
『音声データの長さに限界があるから』
昔の家庭用ゲーム機では音声出る、というだけで凄い事だった時代もある。
今でもDSなどは苦手ですね。
それを思えば今は楽になったもんですよ。
その分要求に応えなくてはならない頻度が増えて大変になったとも言えるのですけれどね。
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