遊び心を忘れて

 現場では多くの場合、コミュニケーションツールを使用してやりとりをしています。


 昔からメールなどは使われていますね。


 口頭での連絡は証拠として残らないので後にトラブルになる事があります。


 なので今はメッセンジャーソフトやチャットツールなどを利用する現場も多い。


 チャットツールも高性能化が図られ、画像を張り付けたりと機能が多彩に。


 席に不在でも送っておけばよいのでかなり便利になりました。


 その反面と言うか、


「チャットで雑談が多い」


 というのが問題になる事もあります。


 業務と関係のない話題で、大事な連絡が流れる事があると。


 まあ分からないでもないです。


 実際ありますから。


 だから大事な連絡は必ずメールでするようにとか決められたりするんですが、


 つまり実例上、雑談なければ流れない、なんて事はない。


 まあ頻度は減るかもしれませんが。


 大事な連絡です。「減る」では意味が無い。重要事項の漏れは撲滅する必要があります。


 まあそこで言っているのはそんな難しい事ではなく、単に「ウザイから止めてほしい」程度だと思いますけどね。



 ではチャットで雑談をするというのが悪い事なのか、と言えば僕はそうは思いません。


 漫画家すがやみつるさんの描いたナムコを舞台としたゲーム製作現場の話でも、


 仕事場には漫画やプラモが散乱。ディレクターがモデルガンで遊びながら登場。


 そこに潜入する登場人物であるアラシ(ゲームセンターアラシがナムコを見学する話)も「こんな仕事サボって遊んでばっかりいる人達にゲームなんか作れるわけないよ」と耳打ちします。


 そこへディレクターは、


  ゲームと言うのは人を楽しませるものだろう? だから僕達は楽しい事を知らなくちゃならない。

  だからこうしていつも遊びながら、どうすれば人を楽しませられるかを考えてるんだ。


 と解説しています。


 実際その理論を提唱している所は多く、僕の最初の現場でも「こういう雑談からアイデアは生まれる。僕らはそれで成り立ってるんだ」と言ってました。



 特にゲーム製作現場では雑談、おふざけする人は多いですけど、


 そういう人達も、別にプロジェクトを壊そうとしているのではなくて、人と人がコミュニケーションを取る仕事をする上で、円滑に進める為に身に着けた処世術である事がほとんどです。


 実際ストレスで人がどんどん辞めていってます。



 それも雑談反対派は知った事ではないんでしょう。


 辞めれば人入れればいいだけだと思っているのかどうかは分かりませんが、デザイナーはともかく企画やプログラムはそうはいかない。



 少なくとも雑談を入れる人達もよかれと思ってやっている。



 必ずしもそうだというものではありませんが、少なくとも僕の経験上では、


「ちゃんとしなくてはいけない」


 というのを掲げる人間の上げてくる物は、全然ちゃんとしていない。


 プロとしてどうなのか、というレベルの不備があったりするのですね。


 まずそこからちゃんとしろよ、と思う。



 メンドクサイ奴だという印象を与えておけばリテイクが来にくくなるという処世術なんだろうか(実際そういう人間はいる)。

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