誤植の指摘は誹謗中傷なのか

 縁あって、

「誤植を指摘したら誹謗中傷されたと虚偽の通報された」被害を訴えるエッセイを見かけまして。


 私も誤植の指摘をやる事はあるので、見てみたのですね。



 書いてある通りの事が起きているのなら確かに被害なんでしょう。


 実際どのようなやりとりがあったのかは今となっては分かりません。


 該当コメントが消されていたりするそうなので。



 被害の内容は要約すると、


 ・誤植、誤用があったので応援コメントで指摘した。

 ・一向に直される気配が無い

 ・それどころか口答え、反論、あげくには運営に誹謗中傷されたと通報された


 という流れだと言います。



 まあどのような指摘の仕方をしたのか、どのくらいしつこく書いたのかは分かりませんので、一方的な主張であるには違いないのですが、


 誤植に限らずそういう輩は実際にいるもので、仕事でも相対する事はあります。

 (何度か取り上げた事もありますね)



 幸い私はカクヨムで相対した事はありませんが、登録者数が多いのだからいるのはいるんでしょう。


 個人的な予想をするなら、そういった人達は誤植に限らず色々と未成熟だと思われるので、


 私が見ても指摘どころか何の食指も動かないんだと思います。



 そのエッセイでは、


「親切を迷惑行為として逆切れ」

「意味不明、理解不能な反論」

「間違いでもプライドを持っている。だから訂正はしない」「間違いにプライド持つな。恥じろ」


 という事を主張しておられたのですね。


 概ね同意します。


 何も間違ってはいないと思います。



 私が問題だと感じているのはその後の行動。


 相手が「そのままでいい」と言っているのなら、それで納得しなくてはいけません。


「そんな指摘は望んでいない」と言うのなら「失礼しました」と撤退しなくてはいけません。



 間違ったものを晒し続けようが、恥を晒そうが、本人がそれでいいのなら他人がとやかく言う事ではない。

 (自分のエッセイでそういう考え方について思う事を書くのは自由ですが)



 主張者の「趣味でも人の目に触れるのだから直せ」という主張も間違ってはいません。


 しかしプロ意識を持っている場合、公開したらそれで決です。


 通常、出版、公開された物はもう直す事はできません。


 だから一度出したものはもう修正しない。間違いは教訓として受け止める姿勢も立派だと思います。



「間違ったまま公開すると、その間違いを覚える人が出てくる」というのもあるでしょう。


 しかし日本語と言うのはそういうものです。


 他でも取り上げてますが、過去に誤用が広まって定着し、辞書に載ったものも多い。


 悲しくもそれが全体を見た日本人の語学水準。


 各個撃破するより教育体制を見直す運動に参加しよう。



「そういうものを放置されると目が腐る」


 そういうものは多分誤植だけ直しても目は腐る。





 上記考え方に関してはどちらが正しいと言うものではないんですが、


「誹謗中傷されたと虚偽の申告をされて被害に遭っている」のならば由々しき事態です。


 虚偽の申告をされては堪らない。


 同じ被害に遭わない為にもよく調べておく必要はありそうです。



 まず、本当に「虚偽」なのか?



 結論から言うなら虚偽ではないです。


「誹謗」 - 対象をそしりけなすこと。正法をそしることにも用いる。

「中傷」 - 根拠もなく悪口を言うこと。


 中傷ではありませんが、誹謗には該当する。


 この場合何を正しい、そしりと定義するかにもよりますが、相手には相手の思惑がある。



 分かり易い例を挙げるなら、


 チャックを開けている相手に「チャック開いてますよ」と大勢の前で指摘したら、


 礼を言って閉めるのは建前で、内心は「なんでここで言うんだ」と思っていること必至です。



 誹謗中傷の申告なんてのはむしろ穏便に済んでいる方で、


 中には本業、プロとして活動していらっしゃる人もいるのですね。


 そしてカクヨム作品は、本編読まずにコメントだけ見る事も出来るのですね。


 人によっては、中身は全く見ずに、「誤植の多い人」という情報だけインプットされるかもしれません。


 そういう情報だけ広まると本業に、これからの展望に差障るかもしれない。


 その先売れなかったら「もしかしたらアレが原因なんじゃないか」と思い悩む事もあるでしょう。


 誰もが通る道、と言ってしまえばそれまでですが、


 一つ言える事は「なぜ大衆の面前で、間違いを指摘されるという目に遭わされなくてはならないのか」という事で。



 主張者の言い分としては、

「そういうものを公開している方が悪い」

 というわけですよね。



 これは明確な攻撃の意思があるとされても致し方ない。


 あなたは趣味で指摘しているかも知れないが、こっちは生活かかってんだよ、というわけです。


 場合によっては名誉棄損で訴えられてもおかしくはない(犯罪を暴露しても名誉棄損。詳しくは『NPO法人にゃんけん』3話参照)。


 相手に訴える力が無いなら叩き潰してよい事にはならない。



 というのは極端な結論ですが、


 要するに件の被害者の主張は、少々行き過ぎではないかと思うのですね。



 ともあれ誤植を一つ指摘したら主催者、運営に通報されていた――なんて事があれば確かにショックでしょう。


 それだけならば逆に誹謗中傷されていると言えます。


 どちらの問題の方が多いのかと言えば、初心者、素人の方が数で圧倒的に多いのだから、トンデモない行動を取る人の方が目立つでしょう。



 少なくとも自分の方が文学的に先を行く人間だと思うのなら、初心者は正しく導いて行ってやらなくてはならないのではないでしょうか。

 (あくまで自身をそう思うならの話です。ベテランなら誤植出さないのではない)



 なので私の場合は、単純な誤植の指摘であっても「そういう企画に参加している」「どんな意見でもと明記している」人にしかやりません。


 そして「どんな意見でも」と明記していない場合は、指摘が修正されるまたは伝わったと確認したら消すようにしています。


 誤植が直っているのにコメントだけ残っていたら傷痕にしかならないですからね。


 文章直っているのに指摘だけ残っていたら完全に中傷です。


 でも返信のコメントも一緒に消えてしまうので、そこは心苦しいのですが、それでも指摘だけ残すよりは良いと考えています。





 指摘する側も成長を続けて行かなくてはならない。

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