イメージ力の差か
カクヨム作品を読んでいる時に、「あんまりイメージが伝わってこないな」と思う事があります。
それはイメージを文章に出しきれていない力量の問題である事もありますが、
出版されたプロの作品でもたまにシーンがイメージできない事もあります。
読む側の読解力もありますが、基本的には普通の人に意味が通じなくてはなりませんからね。
そして少なくとも自分の読解力は業界内でも中よりは上だと思っています。
(自負と言うよりは当たり前ですけど。そんな素人がそれ系の仕事していたらそっちのが大変です)
中には「どんな意見でも」「批判も歓迎」みたいな意気込みの物もあるので、遠慮なく突っ込んでみると、やはり作者自身イメージが出来ていない事があるのですね。
その状況をリアルに映像再現しようとすると破綻する。矛盾しているのです。
書いている人間がイメージできていないのだから、そりゃ読む側にイメージできるわけはない。
ほとんどの場合は単純に描写不足なだけなのですが、はっきり言ってしまえばそれはたまたまで、イメージできる水準というものは一定しているものです。
きちんとイメージする人は書き洩らしがあっても誤植レベルです。そこに破綻は無い。
そして書く側にイメージが無いのなら、読む側にイメージが伝わる事は絶対にない。
しかしそれでも不都合があるようには見えないのですね。
スラスラ読んでくれる人は多いです。
なぜか僕の所にはそういう人なかなか来ないですけど。
以前もサイトに投稿されるいる作風に則って、そこで喜ばれそうな事に主軸を置いて書いた事ありますけど、
なんか他の人の感想と全く反対の事を言うわけです。
ん? それはそれでいいんじゃなかったの? となる。
まあ僕の読み取り方に問題がある可能性もありますが、それなら僕のやっている仕事が大変な結果になっているはずですので。
閑話休題。
とにかく読む人も、実はそれほど場面をイメージして読んでいない。
そこに破たんがあってもそれを全く拾わないんですね。
別にそれはおかしい事ではなく、普通そういうものです。
本好きの人は登場人物に自分の絵、はたまた役者俳優を重ね、声を割り当て、情景を映像化し、時にはBGMをも流して読む。
普通の人はまあそこまではしないでしょう。
ここでこうなってこうなった、という結果だけを拾っている。
特に分からないものを分かろうとする事なく、スルーしているんですね。
当然それは場面にだけに納まる事はないです。
心情であったり、裏を流れるストーリーであったり、テーマだったりと、それらも考える事はないです。
推理物を特に犯人を予想するでもなく、そのままだだーっと最後まで読んで犯人を知る。
トリックに破たんがあっても何も問題はないでしょう。
しかしそれを「推理物」として出版するならどうか。
キャラクターが魅力的だろうが設定が独特だろうが推理物のトリックが成立していなければ出版される事はない。
別のジャンルとして出版する選択肢はありますが、本人が推理物を書いているつもりならトラブルは必至。
同じようにイメージがしっかりできていない物がその後アニメ化やドラマ化される事はない。
成立していなければコンテにできないですからね。
高い所にある綱の上を渡っている時に、敵が出てきて大立ち回り。
相手の攻撃をボクシングのようなフットワークで躱す、とか書かれていてもコンテにしようがない。
無理矢理やれん事はないけれど、作者の思惑とは違うものになる。
必ず作者のテコ入れがあってトラブルになります。
そもそもイメージしていないんだから出来なくて当たり前、
出来た物に対して後から考えて言っているだけ。
出来上がってから変えられるものではない。
実際創作系の仕事でなくてもロクにイメージできずに仕事している人は多い。
以前にも紹介しましたが、「ちゃんとチームで統一したイメージを共有している」と豪語するので、
個別にヒアリングして形にして「それで間違いないです」となったものを比べてみると全然違うものになっている事もしばしば。
実際そんな素人が仕事しているのだから大変です。
と言ってもやはり中心的な仕事はできないですけどね。
クリエイターをやる人は例外なくイメージ力があります。
ともあれ小説を書く時にイメージできているかどうかは、先を見据えているかどうかと言う事に繋がる。
(描写不足はこの場合置いといて)
稀にイメージする必要はないみたいな事を言う人もいるのですが、
そういう人は、星や応援集めてランキング上位に挙がった後で、その作品をどうしたいと考えているのでしょうね。
メディア展開は考えていない事になります。
品質によっては出版も考えていない事になる。
別にそれは悪い事ではないのですが、人気が出るとそれが良く出来ていると思い違う人もいるのですね。
前に「賞の大賞候補にまで登って最終選考で落ちた。出版社からどこが悪いとかの評もなかったので、分かる人がいたら見てくれませんか」と投稿していた人がいました。
何作か選考に残り、他の作品は出版社による批評が掲載されていたのですが、その作品はノータッチだったんですね。
なぜダメだったのかを望んでいるので、興味もあって読んでみたのですが、
実際酷いものでした。
推理物が推理物として成立していないレベル。
実際はホラーだったんですがホラーとして稚拙なレベルだったんですね。
最終に残ったのは読者投票だったからです。
ゾンビ出て気持ち悪い描写があればそれで「恐い」「気持ち悪い」と票が集まる。
ホラー部門なので審査員はそれだけで怖がらないです。
ゾンビが科学的に説明されているのですが、それがなぜ噛まれて感染するのが分からない。
血中の毒が原因なんですが、返り血浴びたら混入するだろ。でも感染しない。
これ「彼岸島」読んだ人ならすぐ分かる矛盾です。
ホラー好きなら読んでる人多いはず。
もちろんそれが一番というだけで他にも出るわ出るわ。
そりゃ審査員も何も言えない。
実際僕がどこかどうおかしいのか指摘したのですが、すぐに投稿消されました。
なろうで未だそのまま公開されています。
どうしてあげる事が作者の為になるのかは、当人が何を目指しているのかによるのではないでしょうか。
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