フィクションとノンフィクション その3
『フィクションかノンフィクションかを意識しない。面白いかどうかだけが重要であり、事実に基づくか否かは二の次』
のまとめ。
これの意味が、
『現実にそんな問題が起こっているのかどうかなど知った事ではない』
と捉えるのはあまりに失礼な話。そういう事を言っているはずはない。
実際、事実に基づく話が同情心を煽るような効果はあります。
その問題を真摯に受け止める、または気の毒に思うなど、心を揺さぶるのが共感を生む。
昔事実を基にしたとして話題になったウェブ小説も、後で矛盾点を指摘されて物議を醸し出しましたね。
実際に嘘だったのかは私には分かりませんが、嘘だと分かって急に冷める気持ちも分かります。
不幸を気の毒に思い、助けてあげたいと応援していたら嘘だった。
それは詐欺です。
詐欺。騙されていたと分かったから冷める。
なぜ冷めたか。
それはバレたからです。
バレなければ詐欺にはなりません。
物語はそもそも嘘なんだから。
ありもしない世界を語り、いもしないキャラを見せ、体験もしていない感動を与える。
いかに気持ちよく騙してあげるのかに掛かっている。と私は考えています。
騙されている事に気が付いたらそりゃ冷める。
なぜバレるのか。
それは矛盾しているからです。
実際に体験した事がある人が読めば、そんな事は有り得ないという事が分かる。
現実に起こりえない事が書いてあればそれが嘘だとバレるわけですね。
要するに「矛盾点」なんですね。
ファンタジー物は矛盾点がバレにくいんです。そして矛盾点を指摘すると「いやそれは~」と描写もされていない設定が出てきて語り始める。
「いや、説明が無いという指摘をしている」
と非常にめんどくさい事になるので嫌がられる。
中には「ファンタジーは好きに書いていい」「ファンタジーは理に適っている必要はない」と思っている人もいますがそれは関係ないです。
現実でもギャグなら理に適っている必要があるのかと言えばそれはない。
要するにファンタジーでも「練り込まれた世界観が凄いんです」というのを謳っているのに、そこに矛盾があったなら同じ事です。
いや全然練り込まれてないじゃない。
というだけの話です。
初心者ではなかなか自身の作った世界観を逸脱しないというのも難しいですからね。
つまりこれは、
『矛盾点があるかないかは気にしません。純粋に面白いかどうかを見ます』
と言っているのかもしれない。
それはありがたい事です。
僕もそれはアリだと思います。ハリウッド映画でも滅茶苦茶な物はありますからね。
それでも商売として成立する事もある。でもやはり評価はそれだけのものになりますが。
実際先のWEB小説も、そんな事は気にしないで見ているから普通に面白い、という人も多い。
ただ実際に同じように辛い体験をした人を侮辱していいものではないと思うので、共感はできません。
実際設定がダメダメなものはそれだけでついていけず、冷めてしまう事も珍しくない。
それはそれとして、僕の小説はそんなダメなんでしょうか?
まあ作品を批評する時の方針を告げられただけで、僕のがそうだと言われたわけではないですが、
それを敢えて告げる意味というのはやはり分かりません。
敢えて告げる意味というのは暗にそう言っていると解釈する以外ないとは思いますけれども。
どこがどうなっていないのかを指摘してもらえる分にはそりゃ構わないのですが、
こちらも法的なものに関してはきちんと法律相談をしてから盛り込んでいる身であるので、料金が発生しているものが嘘だったのならそれはそれで大変な事です。
中には独自の法律感を押し出してくる人もいますからね。
個人的な創作論からしてみれば理に適っていないものから面白さは生まれない。
ギャグ物にもギャグ物の理があるものです。
これは完全に個人的な結論である事を前置きしておきますが、
『面白いかどうかだけが重要であり、事実に基づくか否かは二の次』
という事を公言する意図というのは、自身が理に適った物を作れない事に対する予防線だと思われても致し方ないのか、という所でしょうか。
話題になって売れたらそれだけ多くの人が目にする。
目の肥えた人もそれを見る。
そうすれば「なんだこれは」と評する人も出てくる。
それが正しい批評なら、それを聞いて目が覚める人も現れる。
そうして炎上すると製作側は火消しに奔走する事になるんですね。
プロを目指していないなら関係ない話です。
しかし曲がりなりにも物書きを自称するならそれは無視していい事ではない、と自分は思います。
やはり人に時間を取ってもらって読んでもらうものである以上、ちゃんと作られている、なんてのは極めて当たり前だと思います。
事実に基づいているかどうかなど元ネタをどこにおくかの違いだけで、それは面白さとは全く無関係。
面白くできるかどうかは純粋に本人の技量であり、事実に基づいているから――理に適っているから面白くなくなりました、なんてのは通用しない。
そこで設定を逸脱する事で、理屈を度外視する事で面白くなるならそうするべきです。
しかしそれは「ちゃんと作らなくても良い」事と間違えてはいけないと思うのですね。
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