3Dプログラマーは3Dが分からない

 ある時、企画をやっている人から


「3Dプログラマーは光源が分からないんだ」


 と意気揚々と語ってきた事があります。


 全然別の会社で飲む機会があっての事だったのですが。


 いったい何だ? と詳しく聞いてみると、


 3Dの場面で、プログラマーに、


「光源はどこにあるのか?」


 と聞いた所、


「なんですか? それは」


 と返ってきたと言う。


 光源と言うのは光の元ですね。ライトとも言います。


 3D映像と言うのは必ず影が入ります。地面に落ちる影もそうですが、明るい部分と暗い部分

が出来て初めて凹凸を感じ立体に見える。


 立体に見える、というのは影の存在による所が大きいのです。


 影は光が当たる事によって出来る。


 光には発せられる場所と方向があります。


 上から光が当たれば地面に影が落ち、横から当たれば壁に影が出来る。


 空中に浮いている物も、影との距離で地面との距離が、つまりどのくらいの高さに浮いている

のかが分かる。


 この光の位置が「光源」なんですね。


 通常は写真撮影する時の照明の位置と大体同じように配置します。




 冒頭の話に戻りますが、その企画はどこからかそういった知識を得てきてそう聞いたのでしょ

うね。


 暗に自分の方が分かっている的な自慢話なんですが、


 私はそこで「ちょっと待って」と話を止め、


 まず光源分からなかったら3Dプログラマーとは言わない。


 僕も当時は3Dのプログラマーとしてやってはいなかったですが、


 画面に3Dモデル出すだけだったら僕でも出来たわけですよ。


 3Dプログラマーと言える条件は、モデラーの出来て要望を聞き、リテイクを返せる事。


 要はモデラーと会話ができる事なんですね。


 用語なりメカニズムなり、データ形式が分かっていないと会話が出来ないんですね。


 3Dエンジンのプログラマーともなれば、それは出来て当たり前。むしろモデラーに理屈を教

える立場です。


 予め誰かが作った3Dエンジンを使って画面にポリゴン表示するなど、プログラマーなら出来

て当たり前です。


 それこそ「初めての3D」とかいう本を買ってくれば誰でもできる(本当に誰でも出来ます)。


 プログラマーにもそれぞれ得意分野あるんでね。一括りにできるものではない。




 そして想像ですが、その企画のプロジェクトのシステムは、環境光源を使用していたのではな

いかと思います。


 要はライトを設置するのではなく、全体的に明るくなる光源。


 それは影ができないのですが、絵そのものに影を描き込んで陰影を表現し立体に見せる。


 ライトを当てると露骨に陰影が出来て返って見難くなったり、処理が重くなったりとデメリットもあるんですね。


 それなら光源というものは存在しない。


 それを聞いて、冒頭のような話にした可能性もあると思っています。




 私はその現場を知らないので話半分に聞いてましたが、


 場合によってはそのプログラマーの腕が悪いという噂を広めてしまう事になるのですね。


 人が言う、~の現場は、みたいな話は当人の問題である事も少なくない。


 しかし本当に話の通りの人間がいるのも事実。


 批評は基本、自分で見てからやるべきですね。

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