シュレーディンガーの猫

『このソースコード(プログラム)は完成しているとも言えるし、完成していないとも言える』


 完成したプログラムを動作させて、意図した結果が得られたとしても、それはどんな状況でも同じ結果を返すとは限らない。


 具体的な例を挙げならば、


 天候を操る魔法があるゲームがあったとして、晴れていれば~、雨ならば~、という効果があるとすると、


 室内だけのステージがあったり、またはおまけモードみたいな闘技場モードがあったとしたら、そこには天候のシステムが存在しないかもしれない。


 そんな時に天候魔法を使うと天候を得る事が出来ない、不定な動作、つまりゲームが止まってしまう可能性があるのである。


 これは分かりやすい例なので、おマヌケな例ではあるが前例は割とある。

 たとえば配属されたばかりで全体の仕様を知らなかったり

 たとえば天候のないステージは原則禁止だが、知らない所で勝手にステージが追加されていたり


 要するに今動作を確認したからと言って、それは必ずしも安全なソースコードとは言えない。


 このソースコードは完成している状態と、完成していない状態が混在していると言えるのである。


 完全に安全を保障するためにはハードウェア、システム、ライブラリを全て熟知している事が前提であるが、


 年ごとに新しい物が出る昨今、それはコストパフォーマンス的に現実的でない。



 難しく言ってみたけれど、こういう事は割と日常でも同じ事が起きている。


 マッチを擦って火を点けられる理屈は分かっていても、そこには酸素や摩擦以外にも、今人類が解明していない要素が絡んでいるかもしれない。


 10億年後に同じ事をしても同じ結果が得られるとは限らない。


 やってみなければ分からない。


 そんな中で、何の保証もしないわけにもいかない。


「どうせやってみなくては分からないから対策講じるなんて無駄」


 という手法を取り入れる所は例外なく潰れていっています。



 絶対なんていう言葉のない世界で、僕達は足掻き続けなければならないのです。

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