頭のおかしい人 2
ゲーム会社移転直後。ADVを担当する事になって。
まずその会社のシステムは?
ライブラリ、フォントなどどうすればよいのか?
という確認をした所。
特にそういうものは共有していない。各々担当者が自分達で作っている。という話だった。
にわかに信じられない話ではある。
そのプロジェクトはクライアントが別なので、クオリティの是非は他社が決める。
同じ会社に発注しているのに、タイトルごとにクオリティが変わっては「なんでこんな事になってるのですか?」と色々と問題が起こる。
たとえばフォント(文字)。
読みにくいなどの文句はこれ必ず入るんですね。
絶対読める文字にする為にはでかくしなくてはならないが、今時そんなゲームはない。
必ず縮小して潰れる部分が出てくる。
それも読めないわけではなく、読みにくいだけだから。
何百文字とある中、読みやすいものもあれば読みにくいものもあるわな。
大抵は全体を自動コンバートするので、どれかが読みにくいからと言って調整して出しなおすと、今度は別の文字が読みにくいと言われる。
この問題は非常に面倒くさいのです。
だから以前に発売したゲームのフォントをそのまま使うのが常です。
同じメーカーから発売している物と同じなら「前と同じですよ」というのは非常に強い理由になる。
しかし出せないと言うのなら仕方がない。
新たに作るしかない。
僕にも今までに使ったフォントはあるが、それは別の会社の著作物なので使う事は出来ない。
フリーのフォントから出し、また読みにくいものを一つ一つ手で直していくしかないのですね。
しかしデザイナーにその時間が取れないなら、そのまま使うしかない。まあ別に読めないわけではないのだから製品クオリティには問題ない。
要は因縁つけてくるだけだから、ディレクターが話をつけるというのならそれに従うしかない。
そして開発は進み、ロムを焼く段階になって、文字が読みにくいという話になる。
クライアントではなく社内評価。
会社で使っているフォントがあるのだから、それを使うようにとのお達し。
聞いた時には無いという話だったから今そうなっているのではないのか?
「同じメーカーから出すゲームだからフォントが違うと色々と……」
とフォントは無い、と言ったその口で言う相手に「それ、僕が言った事ですよね? それで無いという話でしたよね?」と言って「あっ。そうだったね」と納得するとは思えない。
むしろそれで納得された方が「この人は大丈夫か?」と心配になるくらいだ。
一応深刻な事態ではあるのでプロデューサーを含めて「今こういう事が起きてます」と報告した上で判断を仰ぎ、フォントシステムは入れ替えると決まる。
仕方なくシステムから直して一週間、次の定例会議で、
「今スケジュール的にここのはずなのに、いまだこの段階なのはどういう事だ」
みたいな話になる。
既に完成しているフォントシステムを入れなおすのだから、その分ズレ込むのは当たり前なのだが、
組み込みに3日(たとえばです)かかったものを新しく入れなおすのが、なぜ0日でできると思ったのか?
と質問して解決するならそっちの方が心配です。それはそんな事もできない頭の悪い人間が仕切っている事になるので。
結局は連中はグルで、わざと問題を起こさせて、それを叱る事で自分を優位な位置にいると思いたい人達なんですね。
この例はかなり極端な方で、僕も初めてでしたが、似たような事をする人の一人や二人、誰にでも思い当たるのではないでしょうか。
これは後で分かった事なんですが、
そのプロジェクトは開発期間1年で、僕が入社して担当になった時既に半年以上何の成果も上げずほったらかされていたものでした。
それ以上の問題をどこかで作る事は初めから決まっていたようです。
その時は優位な気分に浸る事ができ、乗り切ったつもりなのかもしれないけれど、結局そういうスキルの人間である事には変わりがない。
結局そのプロデューサーは数年後クビになり、またどこかで同じ事を繰り返している事と思います。ゲームの事は何も分からない素人なのでどこに出没するか分かりません。
あなたもいつか間接的に出会うかもしれません。
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