気持ち

さー

第1話消しゴム

僕は消しゴム。

主人は可愛い女の子のかなちゃん。


今日の一時間目は図工か、僕の一番嫌いな教科だ。

今日も地獄が始まる。


キーンコーンカーンコーン

「はい!今日は鉛筆でお友達の絵を書いてみましょう」

先生の一言でかなちゃんは鉛筆を取り出す。

あぁ、友達の鉛筆君の頭がすり減っていく。

かりかりと静かな悲鳴をあげながら。

かなちゃんが絵を消そうと僕に手を伸ばしてきた。

僕は思わず机の上から滑り落ちる。

このまま行方不明になってしまえばいいのだが

かなちゃんは一生懸命僕を探す。 

バチッかなちゃんと目があった。もう終わりだ。

かなちゃんの手が伸びてくる。

よし、もう覚悟は決めた。潔く運命に従おう。

僕が画用紙へと近づいていく。

とうとう画用紙と頭がついた。

そしてかなちゃんが思い切り僕を動かした。


ボロッ


静かな悲鳴をあげ、僕の頭は無惨に引きちぎれた。



最後にかなちゃんの声が聞こえた。


「もう何でこの消しゴムすぐ折れるのかな。新しいの買わなくちゃ。」


   

静かな悲劇はまた繰り返される。

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気持ち さー @Sahoasax

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