第2話 聖剣と契約者
「俺が…死んだ?」
「ええそうよ…貴方は死んだの、何回も言わせないで頂戴。」
どういうことだ、俺が死んだって。何のことか分からない俺はここにくる前のことを思い出す…。
◑ ◑ ◑ ◑ ◑
俺はいつものように高校を出て家に帰る道の途中、赤信号なのに横断歩道を渡っている少女を見つけた…。見た目からして小学5年生くらいだろうか?そこに少女の三倍くらいはありそうなトラックが少女にきずかないでスピードを出したまま近ずいてくる。
「おい!!危ないぞ!」
声をかけるが向こうは、こっちにもトラックにも全くきずいていないようだ。
やけになった俺は後先を考えずに道路に飛び出し、少女を突き飛ばして…。
◑ ◑ ◑ ◑ ◑
そうだ…。あのとき俺は少女を突き飛ばした後トラックにひかれたんだ。
でも、どういうことだ。なんで体に傷が一つもない?それと俺が突き飛ばした少女は無事だったのだろうか?まあ、そこらへんの事も全部
「あのさぁ、シエラ…。」
「あら、いきなり呼び捨て?…まあいいけど。」
やっぱりこの性格はどうにかならないかな?でもいちいち言ってると話が進まなくなるから今はいいや。
「シエラ、俺が突き飛ばした子はどうなったか分かるか?」
「ああ、あの子なら…そろそろ前にでて来なさい。」
シエラがそう言うと彼女が座っている椅子のうしろから一人の少女が姿を現した。背はシエラよりも少し高い、百四十五センチ前後だろうか。それにしても綺麗な銀色の髪だなぁ。ってこの子は!?
「ど、どうして君ここにいるんだ?」
「さっきは助けてくれてありがとうごさいました。…それとごめんなさい。」
少女は小さな背中をおって頭を下げてきた。
ごめんなさいっていうのは俺が死んだからでいいのかな?まぁ、死んだって実感もないしまずは顔をあげてもらわないと。
「大丈夫だよ、頭を上げて。」
俺がそう言うと少女はゆっくりと顔を上げた。何故この子がここにいるのか、シエラのほうを見るとシエラは俺が何を聞こうとしているかわかっていたように話し始めた。
「この子は聖剣カーテナ、今日から貴方の
「それで俺とその子で、その魔王を倒してほしいという訳か。」
「そうよ。分かってるじゃない。」
「でも、どうして俺なんだ?そういうのは俺よりも強い人がやったほうがいいんじゃないか?」
これが重要だ。俺は元の世界でも、飛び抜けてスポーツができたり成績が優秀だったわけでもない。なのに何故俺なのか、この疑問をシエラにぶつけるとシエラはさっきまでとは違う少し困ったような表情になった。
「実はね、
「えぇっと…それで?」
「もう!!今度は察せないのね!だ、か、ら、貴方が資格者でこの子を突き飛ばした時に契約が完了しちゃったの!」
俺はシエラの横にいるカーテナを見る。銀色の髪と澄みきった碧色の瞳、確かにこの世界とは違う世界の人間と言われた方が納得できる。…いや、そう言えば……。
「なあシエラ、カーテナは聖剣だって言ったよな。」
「ええそうよ。」
「じゃあ何で人間の姿をしてるんだ?」
「そんなの、そっちの方が色々便利だからに決まってるでしょ。そんな事より、話は分かったの!!」
「わ、分かった、分かったからそんなにイライラするなよ。」
俺にとってはけっこう重要なことだったんだけど…。まあ、こいつの話を信じると俺はこれから勇者として世界を救う訳か。
「言っておくけどそんなに簡単な話じゃないわよ。本当だったら貴方はその弱っちい身体で冒険をしなくちゃいけないのよ。」
「本当だったら?」
「そうよ、私に感謝しなさい。今回だけ特別に貴方に力を貸してあげる。」
シエラの言葉が途切れるとともに、俺とカーテナの足下に魔法陣のようなものが現れる。
「それじゃあ向こうについてもまともに戦えるように、筋力やスピードみたいな基礎体力を底上げしといたから頑張りなさいよ。」
「い、いや、ちょっとまてよ、まだ話は終わって……」
その瞬間、俺の周りがものすごい光に包まれる。
「これ以上の説明はカーテナに頼んであるから向こう側に着いたら聞くといいわ。」
「だから、話は……」
「カーテナのことたのんだわよ。」
シエラの言葉が薄れ俺の意識は深い闇の中にきえていった。
異世界勇者の剣物語(ソードストーリア) 霧島凪 @mimorimsora
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。異世界勇者の剣物語(ソードストーリア)の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます