第3話 ぶーすたー

––––あれから何時間経っただろう。

「バスさえ壊れてなければ、、、」

かばんがヘトヘトになって呟く。

「かばんちゃん、大丈夫?」

「ううん、大丈夫、、」

サーバルがかばんに心配そうに声をかけるが、かばんは心配をかけまいと言う。しかしその顔は疲れを隠せず、上手く笑えていない。

「かばんは賢いですが、体力がないのですね。」

「なのですね。」

「博士たちみたいに僕も飛べればいいんですけど、はは、、」

博士たちには見抜かれていたか、そう思いながらかばんは気まずそうに冗談を言う。

その時、

『ツいたよ。』

マント姿が言う。

「やっと、、、着いた、、、」

一同がついたところ、そこには鬱蒼とした森の中、見渡す限りではただただ周りには木しかない。

「本当にここなのか?木しかないが?」

ヒグマが不審がる。

『こノ下ダよ』

そう言うとマント姿は地面に手を置く。そして、

ゴゴゴゴ、、、

「地面が動いた〜〜!」

「サーバル、地面が動いたのではないのです。たぶんこれは、『隠しドア』なのです。」

「『かくしどあ』?」

「隠しドアとは、【ヒト】が作ったと言われている、何か見られたくないものを隠すために、何かに似せて作ったドアなのですよ。それぐらい知っておくのです。」

『ソウ グうぜんみつけたノ。』

そうこうしているうちにドアが開く。

その先に待っていたのは、どこまでも続いていそうな「地下室」へと続く階段だった。

『この先ニあるかラ、ついてきて。』

マント姿を先頭に、階段を降りて行く。

「どこまで行くんだろう、、」

「暗いから気をつけるだ、フェネック!」

「はいよー、アライさん。」

暗い階段を下り続ける。その時、その先から僅かな光が見えてきた。

『モウスグだから。』

光がだんだん強くなり、ついに階段を下り切る。その前に広がっているのは、、、

『ココ。』

灰色の、フレンズが一人ほど入れそうな部屋が、同心円状に並んでいる。そしてその中心には、透明な円柱形の筒。

「ラッキーさん、ここ、どこですか?」

かばんがその腕につけている腕輪–––ラッキービーストに話しかける。

《ココハボクノマップニモトウロクサレテイナイヨ。》

「ラッキーさんもわからないのか、、、」

『その、「登録装置」ニはいっテ、「ブースター」の認証ヲしてきて。』

「登録装置って、ここのことですか?」

かばんが部屋の一つに手を当てながら問う。

「ソレ。セ、、いや、ワタシに言われタ6人、はいって、認証ヲしてきて。」

マント姿とフェネック以外、一人ずつ部屋に入って行く。すると、、、

《フレンズの存在を確認。認証を開始します。》

「喋った〜〜〜!」

中心の筒から声が聞こえ、サーバルが見事にオーバーリアクションを決める。

すると、一つ一つの部屋から、機械音が聞こえてきた。

「なんなのです?ここに入っていていいのですか!?」

フレンズ達が、驚いている間に、

《各フレンズの認証を完了。「ブースター」及び、「ソウルメダル」使用許可します。》

認証が完了する。

フレンズ達の前の小さな扉が開く。

「え〜、何が出てくるの〜!」

そこから出てきたものは、ジャパリロゴが四角い板についたような装置、それと丸い、前にツチノコが見せたようなジャパリコインのようなメダル。

《全ての認証作業が完了。》

一人ずつから出てくる。

部屋から出てきたその装置–––けものブースターを持って全員が出てきた–––そう思った。しかし、

「あれ?かばんちゃんが出てこないね。」

かばんだけが部屋から出てこない。

それから1分ほどで、かばんが出てきた。

「遅くなってすみません。なかなか終わらなくて。」

「あれ、かばんちゃん、それ、何?」

サーバルがかばんが持っているものに違和感を覚える。

「あれ、皆はこれじゃない、、、なんでだろ?」

かばんがその手に持っているものはフレンズ達のものとは違う、くの字型をしたものだった。

『ソれは、、!』

マント姿が驚く。

「どうしたんですか?」

『い、イや、ナんでもナイよ、、。』

(まさカ、、この子、、)

マント姿が何か感づいたが、そんなはずはないと気づかれないように首を横にふる。

『ソレよリ、ソレの使いカたヲ説明スるから、上ニでよう。』

「「またあの階段上るの〜!!」」

全員が声を揃えて言う。その声は、これから上る途方も無い長さのある階段にこだました。










..........................................





「つ、疲れた、、」

さすがに皆もバテてきたようだ。

『ジャあ、説明ヲハジめるよ。まず、、、』

マント姿が説明を始めようとしたその時、

ドオン!

森の奥から大きな音が聞こえてきた。

「まさか、、セルリアンか!」

「え〜!さっきまでは気配がしなかったのに、なんで!?」

皆が焦る。すると、

『イそいデそれヲ腰にツけて、レバーをひイテ!』

マント姿が今までに無い大声で叫ぶ。

「え!?こ、こう!?」

サーバル達が慣れない動きでブースターを腰に当てる。すると、

ギュイイイイイン!

ブースターの横からベルトが勢いよく出てくる。

「えっと、、レバー、レバー、、ここか!!」

レバーに最初に気がついたのは、ヒグマだった。

それに続き、皆がレバーあげる。それと同時に、

〔welcome to ジャパリパーク!〕

待機音が流れる。

『横に溝がアルかラ、ソコに《ソウルメダル》をイレて!』

「ここに!? わかった!よっ、、あれ!?なかなか入らないよ〜!」

メダルを入れようとするが、なかなか入らない。

「くそっ!セルリアンが迫ってきている、、、!」

セルリアンがそこまで迫り、焦る一同。

ガシャン!

やっとの思いでメダルを入れた。

『ソシたら、もう一回レバーヲトジて!』

「任せるのた〜!」

「よーし!」

レバーを閉じる。すると、フレンズ達の前にジャパリロゴのホログラムがでて、

〔OK!welcome!!〕

とブースターが高らかに宣言すると同時に、ホログラムがフレンズ達の体をすり抜けた。

「うわっ!」

皆が目を瞑る。すると、、

「あれ、、何これ、、」

サーバルが両手に何かが付いていることに気がつく。

それはサーバルだけではなく、他のフレンズもだった。

サーバルには爪がついた腕輪のようなもの。

ヒグマにはもともと持っていた武器の強化版。

アライグマには水鉄砲。

博士と助手には羽と足に爪がついた靴。

『ま、マにあっタ、、』

マント姿が安心したようにいう。

それのすぐ後に、大きなセルリアンが10体ほど現れた。

『ミんな、ソレでタタカって!』

「よーし!みんな、いくよ!」

サーバルがそういったのをきっかけに、皆がセルリアンに向かって走り出す。

こうして、初めての戦闘が幕を切った。




































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