第4話 未來
『おじいちゃんとおばあちゃんになっても、手を繋いで買い物したり、出掛けたりしたい』
『【あのおじいちゃんとおばあちゃん可愛いね】って言われたい』
『私より長生きしてくれなくちゃヤダよ』
2人で何年も先、何十年も先の話しをした。
毎日思ってたけどさ、ホントに君が可愛くて、愛しくて。
そんな話しをする時は更に可愛さ増量で。
よく子どもなんかに【可愛くて食べちゃいたい】なんて言うまさにそれ!
僕は大人だから、いろんな意味で食べたく……ハイ、自主規制w
抱き締めて、離してって君が言っても離したくない程に、ホント可愛くて。
その度に、君と一緒に居られてよかった、君を探し出せてよかったって、心から幸せだった。
今は独り暮らしをしてる君が、将来は地元に帰りたいって僕に話してくれた時、優しい君は僕の事を気遣って少し不安げだったけど、僕は全然気にしなかった。
僕にとって、住む場所は関係ないから。
僕の最重要事項は、【僕の隣りに君が居る】って事。
例えば君が、『アフリカに住みたい』『田舎で自給自足したい』とか、そんな事言っても、僕の返事は決まってる。
『いいよ』
君が望むなら、何だって叶えてあげたくて、君が一緒ならどんな事だって苦労になんてならないし。
愛ってこれなんだ。
僕は、生涯もしかしたら得られる事がなかったかもしれない【本当の愛】を【心から愛せる人】を見つけられたんだ。
いつも幸せに思ってた。
そんな幸せな未來を僕は、自らの手で壊してしまった……。
もしかしたら、僕は君の【運命の人】じゃなかったのかもしれない。
もしかしたら、僕が愛してはいけなかった人だったのかもしれない。
もし、僕と出逢わなければ、君はもっと幸せだったんじゃないか。
君が居なくなってから、毎日毎日僕の負の感情が溢れ出して止まない。
君が居ない現実から逃げたくて、君が居なくなった事実から目を背けたくて……。
でも、君を愛してるって気持ちは変わらなくて。
君が僕の存在をリセットしたとしても、僕には出来なくて。
ただただ、君が埋め尽くしていた僕の心が真っ黒な影になった。
上から下に落ちるなんて簡単な事。
モチベーションだだ下がり。
誰に何言われても聴こえてないし、営業スマイルもダルさ増し。
半端な仕事は出来ないし、したくないから集中するけどさ、フッと気を緩めた瞬間に襲ってくる喪失感。
君の僕への影響力は、いろんな意味で凄いよ。
ホント、自分で自分がコントロール出来ないくらいに……。
僕を切り捨てた君は、正しかったんじゃないかって少し考え始めたよ。
僕にとってはこの上ない苦痛だけど。
こんなに依存されてたら、いつか君を壊してしまっていたかもしれない……。
僕が大好きな君のその前向きな姿勢も、真っ直ぐな心も、僕が崩させてしまっていたかもしれない……。
君はどうか幸せになって。
僕には出来なくなってしまったけれど、僕の事が君の心の影にならないように、完全に抹消してくれていいよ。
こんな僕を愛してくれてありがとう。
たくさんの優しさと幸せをありがとう。
1つだけ、君にお願いがあるんだ。
最後のお願い……。
僕がこの世を去る瞬間まで、君を愛し続ける事を許して欲しい。
僕の【運命の人】は君がいいから。
君以外要らないから。
最後まで我儘でごめんな……。
奇跡 曼珠沙華 @pissenlit
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