オカルト研究会の活動日誌、ということで複数の書き手が交互に日誌を書いていきます。具体的には、とある町に起こる怪異現象の調査、解決なんかが記されていくわけです。
ところがですね、それだけの作品ではないんです。
関係者同士の連絡帳ですから、ほとんど説明がないんです。だから読み手も何が書かれているのか、不思議な気持ちで読んでいくことになるわけです。
しかし心配は全く無用で、徐々に作品世界の全貌が見えてくるんです。さらに話が進むにつれてキャラクターのことが少しずつ分かってきて、一層魅力的な物語になっていくんです。日誌に書かれるのはほんの表層の部分。しかしその背後に確固としたキャラクターの息遣い、きちんと広がっている世界観が感じられるのです。
それを絶妙の構成力で、最低限の情報を小出しにしつつ、物語は展開していきます。そして読者もまたページが進むにつれ、物語世界にはまり込んでしまう。その感じが本当に素晴らしい物語です。
さらに最後にはこの日誌そのものにも意外な仕掛けが施されていて……と、小説ならではの面白みがギュっとつまった、まさに読み進めるのが楽しい作品です。
ぜひ読んでみてください!
青春和風伝奇ストーリーを、部活動の日誌という記録から読み取っていく現代ファンタジー作品です。
異能力バトルものの日常系スピンオフを読んでいるような、そんな独特の気分が味わえます。
部員同士が代わる代わる残していく日々の言葉からは、彼ら彼女らの関係性が少しずつ浮かび上がり、仲の好い部活の仲間たちが部室でわいわいわちゃわちゃと集まっている様子が目に浮かぶよう。
個人的に、なにげに一番存在が気になるのは井上さんですね。何者。
あと、兄妹萌え要素もいい感じです。
日が進むにつれて、交換日記という媒体がしっかりストーリー上のギミックとして機能しているのも唸らさられます。
是非ともメインの物語が読みたくなります。
おススメです!