第3話水の街カノープスへ【前編】

その日、ケイはアルドのあの一言のせいで、寝られなかった、【世界を旅する】、ケイの夢があんな形で叶うなど、誰も予想はできないであろう、だがケイは一つ疑問を抱いていた

(アルドさんが言っていたある男とはいったい誰なのだろう…想い人?それとも兄弟や父親だろうか…)

ケイはそんなことを考えているうちに、眠りに落ちた、そして朝になり、ケイはベッドから出て、顔を洗った、そして時計を見た、時計を見たその瞬間、叫び声が響いた

「寝坊したああああああ!」

集合時間の10時をとっくに過ぎていた、ケイは急いで用意をして足早に部屋から出って行った

(まずい!急がないと!)

ふとケイに不安が過ぎった

(アルドさん…待っていてくれているのかな…僕が遅刻したのを怒ってもう出ていってるかもしれない…)

たがその不安が一瞬で掻き消えた、遠くからケイと同じ叫び声が聞こえた

「遅刻したああああああああああ!」

アルドの声だ

(アルドさんも遅刻したのか)

ケイはクスッと笑った

(ならアルドさんを迎えに行こう)

ケイは道を変え、アルドが泊まっている宿に向かい宿の入口の前で待機した。数分後、大慌てでアルドが出てきた、アルドはケイを見てビックリした

「け、ケイ、すまん…待たせちまったか…?」

「いえ!僕もアルドさんと同じで寝坊しましたので待ってません!」っとアルドをからかうように言った、アルドは顔を赤らめた

「き、聞こえてたのか…」

「はい!バッチリと!」アルドとケイはお互い顔を合わせて笑った

「さて、ケイ、行くか!」

「はい!アルドさん!」アルドとケイは肩を並べ、村の出口まで歩いた

「ケイ、忘れ物はないな?この先、結構歩くからな、2日ぐらいは街や村にはつかんぞ」

「はい!バッチリで…………す………」ケイ重大な物を思い出した、そしてケイは震え声で言った

「け、剣を……買い換えるのを忘れていました………」「買い換える?あぁ、そうだったなお前の剣ペレスとかいう奴に折られたんだったな」ケイはため息をついた

「はい……それで昨日の帰りに買い換えようと思ってたんですが………旅の事で頭がいっぱいで…今日、昨日の騒動のせいで鍛冶屋休みだし…」アルドはケイを安心させるように言った

「剣ぐらいなら、俺の龍技で影から作れるぞ、一時的だが。剣はいまから行く街で買い換えればいい」ケイは安心し、言った

「ホントですか!ありがとうございます!助かります!」そして、村の出口に着いた

「さて、ケイ、お前の夢が今、この1歩から叶い始める、準備はいいか!」

「はい!アルドさんは人探しの旅、僕はそれを協力しながら夢を叶える旅………物凄くワクワクします…」

「さて、行くぞ!」アルドとケイは肩を並べ村を出た、そして数時間歩いた、ケイはそう言えばと思い、アルドに聞いた

「そう言えば、アルドさん、今から向かう場所はどこなんですか?」アルドは疲れきった声で言った

「そうだな…それも説明しなきゃな…そこの木の影で休みながら説明しよう…」木の影に着いたアルドは腰を下ろし、水を飲んだ

「ふぅ、なんでここら辺はこんな暑いんだよ…」アルドは完全に疲れきっていた、だがケイは初めて見る世界に興奮していた

「ケイ…お前よく疲れないよな…」

「はい!この辺りの天候には慣れているので!暑いのは平気です!ところでアルドさん、さっきの質問ですが…」

「おっと、そうだったな、説明しねぇとな。今から向かう街は『カノープス』って街だ、別名『水の街』とも言われている」水の街と聞いて、ケイの興奮はさらに高まった

「水の街…!さぞかし綺麗なんでしょうね!」ケイは目を輝かせ言った

「俺も行ったことはねぇからな。綺麗かどうかは答えられねぇな、綺麗じゃねぇかもしんねぇ、まぁ、行ってからのお楽しみだな!」

「はい!楽しみです!」そんな話をしながら歩いていると、いつの間にか太陽が沈み始めていた

「もうすぐ夜になるな、ここら辺に地図を見る限り街や村がねぇからな、今夜は野宿だな」アルドは嫌そうに言い地図を閉じた、しかしケイは全然嫌そうな顔はしなかった、むしろ嬉しそうな顔をしていた

「野宿……!」

「ケイ…お前野宿嫌じゃねぇのかよ…」

「はい!むしろ嬉しいです!見たことのない場所で野宿!なんだかワクワクしませんか!?」ケイは興奮気味に言った

「はぁ…お前の感性がわかんねぇや…」アルドは深いため息をついた

「とりあえず、今日はここで野宿だ」といい、アルドとケイは荷物を置き、焚き火をするために小枝を集めた、しかし火をつける手段がないとケイは気づいた

「アルドさん、小枝を集めたのは良いですけど…火はどうやってつけるんですか?」するとアルドは自慢げに

「フフフ…ケイ、見ておけ…」アルドは人差し指を、集めた小枝に向け言った

「フレア!」すると、人差し指から小さな火が噴出し小枝に火をつけた、ケイは目を丸くした

「アルドさん…今のって魔法ですか?」

「フフン、その通り!今のは初級魔法の『フレア』っといって、子供でも使える魔法だ」ケイは半分興奮気味で

「それって僕でも使えますか!」と言った

「お、おう、まぁマナさえあれば誰でも使えるよ、まぁ、初級魔法と言えども、覚えんのは少し難しいがな」ケイはそれを聞いた瞬間、アルドに頼んだ

「その魔法!僕に教えてください!」アルドは即答した

「いいぜ!」

「ありがとうございます!」アルドは早速、ケイに魔法を教えようとしたその時、草むらからガサッという音がした、アルドは火の光でできた影から龍刀を出し構えた

「アルドさん…僕にも剣を…!」アルドは黙って影で剣を作りケイに渡した

「ありがとうございます…獣でしょうか…」アルドとケイは草むらを凝視しながら会話する

「多分な…狼か……それとも…」ケイは首をかしげた

「それとも…?」アルドは声を抑え言う

「魔物…!」アルドは魔物と聞いてケイがビックリすると思ったが、ケイは変わらず草むらを凝視し、剣を構えていた、するとまた草むらからガサッという音がした、その瞬間アルドはその音がした方向に影を伸ばした

「そこか!」影は闇夜に溶け込み一瞬で見えなくなった、しかし、アルドには伸びる影が見えているらしい、そして、アルドの影は伸びるのをやめ、アルドは言った

「何かを捕まえた…見に行くぞ…」

「はい…」

そしてケイはアルドが動く方向について行き、影が捕まえ『何か』を確認した、それは


獣のような腕をした少女と少年だった

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カゲロウ @kuronekomaru

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